何というか“尻すぼみ”での敗戦となった。1回に糸原健斗の適時打などで3点先制、2回は佐藤輝明が5号ソロ。いい感じで得点したがその後がつながらない。終わってみれば阪神はこの4得点だけ。

偶然というか今季初勝利だった5日DeNA戦も同じく1回に3点、2回1点の4得点。違ったのはその試合で完封した西勇輝がこの日は5回途中5失点でKOされたことだった。

惜しいのは佐藤輝の1発を勝利に結びつけられなかったことだ。試合前まで佐藤輝が本塁打を放った試合は4試合で2勝2敗だった。チーム初勝利の5日に1号。広島に負けた9日が2号だ。3号は中日に1点差で負けた12日のバンテリンドームで出た。甲子園で巨人を下した15日に4号。

ここまでタイ。そして5号が出たこの日は勝てるかと期待したけれど逆転負け。結局、佐藤輝が本塁打を打っても2勝3敗と負け越している。

もう1つ。佐藤輝の打順だ。開幕から4番を打った試合は1勝14敗1分けと大きく負け越していたので14日中日戦から「2番」となった。この試合は負けたが15、16日の巨人戦で連勝。これは流れがいいかもと思ったが17日に敗戦。この日も負けて「2番・佐藤輝」でも2勝3敗と負け越しとなっている。

佐藤輝の2番に関してはヘッドコーチの井上一樹が14日に「今、2番に1発のあるバッターを置くのは全然ありなわけで。ちょっと兆しを見せてくれないかなという意味合いでの2番」などと説明していた。

試行錯誤の中での決定だったが、これはなかなかはまっている。4番だった開幕からと2番になってからを少しだけ比べてみるとこんな感じである。

2番時 打率3割5分3厘 2本塁打 3打点 出塁率4割5分

4番時 打率2割7分7厘 3本塁打 8打点 出塁率3割4厘

試合数の分母は違うが佐藤輝だけの成績とすれば「2番」は成功と言える。それでもチームはなかなか白星先行とはいかない。開幕9連敗のときはどうなることかと注目され、それを止めてから少し落ち着いたように思うが同時に“負け慣れ”してきた気もする。

長年、得意にする横浜スタジアムで打ち合いになるかと思ったが尻すぼみでの敗戦。今季、最後までこんな感じだとは思いたくないのだが…。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

DeNA対阪神 1回表阪神1死、左翼線へ二塁打を放ちガッツポーズする佐藤輝(撮影・横山健太)
DeNA対阪神 1回表阪神1死、左翼線へ二塁打を放ちガッツポーズする佐藤輝(撮影・横山健太)