ロハスには自分なりの“モチベーション”があるのだろう。「ありがとうございます。えっへへ」。妙にうまい日本語であいさつするヒーローインタビューを見ながら、そう思った。

4回に大瀬良大地から打った5号2ラン。大山悠輔をコロナ禍で欠く状況になっただけにこの一撃はありがたかった。あらためて確認すれば5本塁打は大山(22本)佐藤輝明(16本)に次いでチーム3位。印象はあまり強くないが当たれば飛ぶということだ。

「モチベーション」という言葉を使ったのは虎党ならお分かりだろう。あれは指揮官・矢野燿大の1年目だった19年9月6日。場所はこのマツダスタジアムだった。途中加入の助っ人ソラーテが「モチベーションが出ない」などと言ってベンチ入りを拒否したのだ。

当時、ソラーテは2軍調整していたがその日の広島遠征から1軍に合流。しかしスタメンではなかった。直接的にはそれが気に入らなかったようで「モチベーションが…」という名言・迷言を残して離脱。そのまま退団となった。

細かくは書かないけれど過去、阪神には外国人選手を巡る騒動が少なくなかったのは野球好きには知られる事実。しかし闘将・星野仙一が就任した02年頃からはそんな状況も影を潜めていた。それだけに久しぶりの助っ人騒動が懐かしい気もしたことを思い出す。

そして今回のロハスだ。登録抹消から呼ばれたというのはソラーテと同じ状況。それどころか外国人枠の問題で4日に登録抹消されたばかり。それが大山らのコロナ陽性による「特例2022」の代替選手として、すぐ呼ばれたのだ。

それでもくさるどころか楽しそうにプレー。守備ではバタバタする場面もあったが打撃で活躍し「使ってもらって感謝している」とまで話していた。なかなか人柄の良さを感じさせる。同様にオリックスでプレーしたロドリゲスも「日本に戻ってこられてうれしい」と話した通り、なかなか頑張っているようだ。4回、1死一塁からの遊ゴロで俊足ではないもののそれなりに走って一塁セーフ。ロハスの2ランにつなげた。

大山が抜ければ、それでなくても強くない打線がパワーダウンする恐れは強い。それだけに、ここは助っ人らしくバットで目立ってほしいところ。何より、現状、この2人には一丸ムードに水を差す様子はなく、それがいい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

広島対阪神 4回表阪神2死一塁、右中間へ2点本塁打を放つロハス。投手大瀬良(撮影・前田充)
広島対阪神 4回表阪神2死一塁、右中間へ2点本塁打を放つロハス。投手大瀬良(撮影・前田充)
広島対阪神 4回表阪神2死一塁、右中間越え2点本塁打を放ち、ナインに迎えられるロハス・ジュニア(左)(撮影・加藤孝規)
広島対阪神 4回表阪神2死一塁、右中間越え2点本塁打を放ち、ナインに迎えられるロハス・ジュニア(左)(撮影・加藤孝規)