阪神ドラフト1位・森下翔太の株がメキメキ上がっている。主力投手を相手にしたこの日のフリー打撃を見た指揮官・岡田彰布も「力負けせんよな」と満足そうな表情。「即戦力期待のドラ1」と期待されながら右足の肉離れがあって不安視されたが、まずはひと安心というところだろう。

そんな岡田の顔を見て、森下に思わずニヤリとしたことを思い出した。ファームの具志川・室内練習場で森下が打撃練習を行った6日のこと。OB桧山進次郎(日刊スポーツ評論家)とともに見守った。練習に付き合ったのは2軍打撃コーチ・北川博敏である。

現役時代から一貫して明るいキャラクターの北川。森下、そして桧山を含めたやりとりがなかなか面白かった。こんな感じだ。

北川 森下、この人、知ってるか? 阪神で活躍した桧山さんだぞ。

森下 ……はい!

北川 その間合い。さては知らなかったな(笑い)

桧山 いやいや、オレよりも北川サンやで。あの「伝説のサヨナラ本塁打」は知ってるん?

森下 ……ボク、タイガースの試合を1度も見たことがないんです。

北川、桧山 いや、阪神のときと違うって(笑い)

もちろん「北川の本塁打」と言えば、01年、近鉄のリーグ優勝を決めた「代打サヨナラ満塁優勝決定本塁打」という歴史的1発だ。だからこそ森下の受け答えに笑顔がはじけた。

しかし笑ってはいけないのかもしれない。関東出身の森下だが、そもそも若者が昔のことを知らないのは当然。誰だって若い時期はあったし、知らないことはある。そう思って宜野座で練習を見守る“ご意見番”の阪神OB会長・川藤幸三に問いかけた。入団したときチームの先輩、OBを知っていましたか? 

「そんなもん、村山(実)さんしか知らんかったわい。ちょっとずつ覚えていったらエエんや。自分がみんなに知られる存在になったらエエんちゃうんかい」

その通り。そこで森下に「あのときは面白かったけど、これからいろいろと覚えていけばいいよね」と声を掛ける。森下はちょうど前を歩いていた木浪聖也を指し「ハイ! 木浪先輩についていきます!」。

妙に面白い返しをしてきた。これは人気者の気配がする。もちろん、自他ともに認めるスターへ向け、まずは実力で歩みを始めてほしい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

フリー打撃する森下。左から2人目は佐藤輝(撮影・上山淳一)
フリー打撃する森下。左から2人目は佐藤輝(撮影・上山淳一)
フリー打撃する森下。左から2人目は佐藤輝(撮影・上山淳一)
フリー打撃する森下。左から2人目は佐藤輝(撮影・上山淳一)
フリー打撃する森下。左から2人目は佐藤輝(撮影・上山淳一)
フリー打撃する森下。左から2人目は佐藤輝(撮影・上山淳一)
ランチ特打の順番を待つ森下翔太を見つめる岡田監督(撮影・上田博志)
ランチ特打の順番を待つ森下翔太を見つめる岡田監督(撮影・上田博志)
守備練習で笑顔を見せる森下(右)。左は筒井コーチ(撮影・前岡正明)
守備練習で笑顔を見せる森下(右)。左は筒井コーチ(撮影・前岡正明)
岡田監督(左)が見守る中、打撃練習を行う森下(撮影・前岡正明)
岡田監督(左)が見守る中、打撃練習を行う森下(撮影・前岡正明)
平田ヘッドコーチ(左)のアドバイスを聞く森下(撮影・前岡正明)
平田ヘッドコーチ(左)のアドバイスを聞く森下(撮影・前岡正明)