今季もっとも余裕をもって、いや余裕たっぷりに楽しめた試合だろう。借金生活とはいえ、宿命のライバルである巨人を相手に打ちも打ったり、19安打の15得点。熱くもなく寒くもなく甲子園に響き渡る「六甲おろし」も心地よかった。
だが、しかし。ベテランの虎党なら誰でもひそかに思うことがあるはず。こんなに打って明日は大丈夫かいな。15点て。伊藤将司が完封してるんやから1点でエエやん。14点、明日からのヤクルト3連戦に取っとけよ。こちらも試合が進むごとにそんな思いが頭をもたげてきたのが本音だ。
そして野球、さらに阪神が好きなことでは誰にも負けない男がここにいる。言うまでもない、虎の指揮官・岡田彰布だ。当然、岡田も試合中からそんなことを考えていた様子。誰に聞かれるまでもなく、こんな話を始めたのである。
「こんな展開になると(打撃、攻撃が)雑になってくるんやけどね。最後、しっかり四球も選んでたし。8回にそれを絡めて点取ったんでね」
褒めたのは終盤の7回、そして8回に四球を選んだ近本光司の姿勢だった。昨季まで四球が少なかった近本が今季はそこを意識しているということは、この欄でも何度か書いたが近本はこの日も実践。8回に今季16個目の四球を選び、ヤクルト村上宗隆を抜いてリーグトップに立った。
点差も開くと打者は打率を残したいし、1本でも余計に打とうと思うのが本音。しかしそこでもじっくり球を見極めたことを岡田は高く評価した。だから次も大丈夫ということか。その“予想”はさらに続く。
「大体、こういう試合の次は…って言うやんか。でも(先発は)大竹耕太郎やしね。慣れてるやろし。1、2点でもビシッといってくれたらエエよ」
頭の回転が速く、間をすっ飛ばす会話術の岡田なので少々難しい。要するにこういうことだ。28日の先発は好投が続く左腕・大竹だ。大竹は自身と同じ早大出身で神宮球場のマウンドにも慣れている。だからこそ好投が期待できるはず。従ってこんなに得点しなくてもなんとかなる-。そういうことだ。
開幕から湿りっぱなしだった打線が一気に爆発した阪神。うれしい半面、直後の試合が心配になるのが虎党の習性だけど、岡田の言う展開になれば再び上昇気流に乗っていける気はするが、さあ、どうだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




