きょうはこれぐらいにしといたろ-。そんな敗戦と言えば、しかられるかもしれないが、実際、そういう感じもする。関西方面でこのフレーズを知らない方はいないと思うが、念のため、吉本新喜劇のベテラン・池乃めだかが発するギャグだ。殴り合いで完敗した後など負け惜しみ的に放って笑いを誘う。

若いころは吉本興業担当(演芸担当)などもしていて、池乃とは1度、ミナミのスナックでご一緒した。少し酔いながら、カラオケのモニターで自分が出た舞台を見つめている姿にふれて、やはり研究熱心なんやなと驚いた記憶がある。

阪神の話だ。前日のロッテ戦は甲子園で延長戦の末にドロー。5時間7分もかかった。関係者は自宅でチョロッと眠ってこの日朝に空路仙台入りだ。パ・リーグ球団にすれば普通のことだろうが、しんどいのは間違いない。この日はロッテも千葉で負けたし。

その事態に指揮官・岡田彰布は柔軟に対応した。練習時間短縮である。通常のビジターゲームより約30分遅い午後4時過ぎに練習開始。屋外でのフリー打撃も行わず、一部だけが室内で打撃練習を行った。投手陣、一部の野手がキャッチボール、ノックでグラウンドの感触を確かめ、約30分だけで練習切り上げ。シートノックを行っていた。

そんな軽めの練習で打線がつながって勝っていれば、なお、カッコよかったのだが勝負事は甘くない。ノイジー、佐藤輝明らが沈黙して「スミ1」敗戦となってしまった。これぐらいにしといたろ…だ。

冗談を抜きにして、意味があったのは村上頌樹だろう。2敗目を喫したけれど最後まで投げたのは大きい。これはパ・リーグ主催の交流戦の利点でもある。

DH制のパでは先発投手が序盤に4失点ぐらいしても打線が奮起して勝ち投手になることもある。代打が出ないからだ。失点しても、体力的にいけると判断すれば続投することも多い。最近では球数の問題もあり、以前より減ったと思うが「完投負け」も結構、あったと思う。

村上の完投負けでブルペンを休ませることには成功したし、同じ智弁学園出身・前川右京にプロ初安打も出たし。首位チームでも毎日、勝てるはずはないし、ここは割り切るしかない。仙台のホテルでしっかり休養して、7日に田中将大を攻略できれば、そういう話にできる。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)