「反撃のノロシを上げた」-。若い頃、そんな風に大げさに記事を書くとデスクや先輩記者から「おまえは何時代の人間やねん」と指摘されたものだ。それでも、いかにもスポーツ紙らしい慣用句で、きらいではない。2点を追う4回に飛び出した佐藤輝明の14号ソロはまさにそれだった。
それにしても大丈夫なのか。阪神。そう感じてしまうほど強い。指揮官・岡田彰布が「今年一番悪かったんちゃうかな」と評価した先発・大竹耕太郎が2点を先制されても今は何というか負ける気がしない。
佐藤輝が反撃ソロを放つと5回にはやはり佐藤輝の適時打などで2点を挙げ、あっさり逆転。さらにブルペン陣がつないでいる間に打線が追加点だ。元気のない中日相手とはいえ、文句のない試合運びだった。
これで逆転勝利は今季27試合目となった。通算67勝なので約4割が逆転勝ちだ。これは12球団トップである。岡田が「投手を中心にした守りの野球」をテーマに掲げる今季の阪神、得点するチャンスでしっかり得点できているのが強みだ。得失点差もそれを物語る。432得点、340失点で得点が90点以上多い。こんなチームはこれも12球団で阪神だけだ。
「同じ流れっていうか同じ打順で来てるので、その回の役割というか、しっかりできている。投手のバントにしてもいい流れで流れているので追加点とか得点も取れる」。岡田はキッパリと話した。
かつては「死のロード」と言われた長期遠征だが今季はまるで当てはまらない。8月はこれで20試合を戦って16勝4敗。驚異の勝率8割である。甲子園にも戻る今月は、あと5試合。4勝1敗以上でいけば「月間20勝」という球団記録も視野に入ってきた。
「うまくいきすぎや。こんなん」。岡田がそう笑っていた今年5月は19勝5敗で20勝にあと1つ届かなかった。それが8月に来て、この強さだ。ここまで来るとやってしまえ、という気もしてくる。
心配しているのはあの“ポイント”だけだ。選手個々の状態はもちろん、チームそのものの状況も落ち込む時期は、まだやってくるはず。そのタイミングが「アレ」を決めた後の短期決戦になるのがこわいと思うのだ。とはいえ先の話をしても仕方がない。いまは頼もしく、強い阪神を楽しむ時期ということにしておこうか。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




