今季の阪神、これで10連勝は2度目だ。1年に1度あってもすごいのだが、それが2度、起こった。これがぶっちぎりの強さを証明する。だが指揮官・岡田彰布は「大型連勝」が好きではない。今季、このコラムでも何度か触れたことだ。

前回10連勝した8月13日にくわしく書いた。少し振り返る。岡田は過去に出した著書「動くが負け」の中でこう言う。「10連勝するとその後に10連敗するような気がするのだ。選手時代から感じていたこと。現役時代、11連勝した直後に8連敗したことがあった。通常ではありえないような連勝をしてしまうとその後に来るであろう反動が怖いのだ」-。

しかし恐れていたことはついに起こらなかった。今回の10連勝は今月1日のヤクルト戦(神宮)からスタート。8月13日に前回の10連勝を決めた後、そこまでは13試合戦っている。その戦績は7勝6敗。連敗どころか勝ち越しているのだ。そこをどう思っているのか。岡田に聞いてみた。

「おお。そうやねん。まあ、そら、勢いで勝ってないからちゃうか。なんて言うかな、連勝中にとてつもないことは起こってないやろ。普通、大型連勝してるときはそういうことがあるんやけど、それがないからな。普通に戦って普通に勝ったからちゃうか」

今季のスタイルを象徴する「普通」がここで出た。前回の10連勝は梅野隆太郎が骨折離脱した試合でもある。「連勝から連敗」へのイヤな予感に拍車を掛ける出来事ではあったがそれは来なかった。

この日も普通と言えば普通に勝った。前日、西勇輝が好投した後「先発陣の中で1人取り残されるような投球はできんやろ」。それを青柳晃洋にも期待した。その結果は6回無失点。当初から期待の2人が“普通”に投げたのである。

マジックが初めて点灯した8月16日広島戦(マツダスタジアム)でスタメンから外し、起用で気合を入れた佐藤輝明も復活。大事な試合で満塁弾を放った。そこに木浪聖也の犠打、近本光司、中野拓夢の足攻、そして鉄壁のブルペン陣とおなじみの光景が広がる。

さあ「M1」だ。セ・リーグの本拠地で虎党をもっとも少なく感じるのはマツダスタジアムだろう。「(虎党が)少ないしな。遠いとこにおるやろ…」。そう言った岡田の心は決まっている。14日、巨人を倒し、宙に舞うつもりだ。(敬称略)

【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)