14日で終了した阪神の宜野座キャンプ第3クール、「5勤」の最終日は“半ドン”だ。昔は公立の小学校などでも土曜授業があった。それでも午前中で終わり、それが楽しかった。そんなことを半ドンという。

要するに5勤目のこの日はメニューも軽くし、終わろうというもの。もちろんブルペンでの投球練習だったり、打撃練習だったりはあり、午前中で…ということはなかったが確かに終わるのは早かった。

そんな中、ブルペンでボーッと投球練習を見ていたときだ。「おい。監督、こっち来てないやろ? 分かるか?」。そう言う人物がいた。木戸克彦だ。言うまでもない85年日本一の正捕手でヘッドコーチなどを歴任。24年から女子野球「タイガース Women」の監督も務め、虎の顔の1人だ。

キャンプ中、指揮官・岡田彰布は必ずと言っていいほどブルペンに顔を出す。というよりプロの監督でブルペンが気にならない人はいない。「投手を中心とした守りの野球」は広島3連覇監督・緒方孝市(日刊スポーツ評論家)のキャッチフレーズでもあり、昨年、日本一に輝いた岡田阪神のそれでもある。そこまで投手力を前面に出さなくても、投手が重要なのは誰でも同じなのだ。

そのブルペンに、岡田は来なかった。そう言われればそうですね。なんか特別な理由でもあるんですか? 木戸に聞くと笑いながら説明した。

「監督が来たらな。投げてる選手にすればどうしても力が入るやろ。半ドンや、ペース落とせ、言うてるのに、それやったら意味ない。そこを配慮してあえて来なかったんやろ」

なるほど。それが“当たり”かどうか、正直、この段階では分からない。だがそんな配慮を感じさせる岡田であるのは間違いないと思う。先日12日の紅白戦後もそれを感じさせた。

この試合、3年目左腕の鈴木勇斗が2イニングで5四球を出してしまった。ブルペンでは好調だったのに岡田の嫌う結果である。これまでなら“一刀両断”だったかもしれないが「本人が一番悔しいやろ。またチャンスあるよ」と、やさしく話したものだ。

もちろん柔和な表情のときばかりではない。それでも落ち着きは当然として、若者へ配慮できる“風格”も感じさせるようになってきた。そんな姿に接すれば連覇への期待はやはり高まっていく。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)