カブス鈴木誠也が広島にいたとき、こういう話をしたことがある。指揮官・緒方孝市(現・日刊スポーツ評論家)の3連覇時代。ハッキリ言って緒方は厳しい監督だったと思う。ベンチ裏などはともかく、ファンの目に見えるところで笑いながら選手と話すようなことはまずなかった。ピリピリしていたのである。

「緒方監督、こわいかな?」。雑談で鈴木に聞いたのはそういう話だ。その答えはこんな感じだった。「いいえ、まったく。自分は自分のやることをしっかりやるだけなんで。監督がこわいとかどうとかは関係ありません」-。

一流と呼ばれる選手はやはり違う…。笑いながら「そうなんや」と返したが心の中ではそう思ったし、さすがと感心していた。わが意を得たり…という感じだったからでもある。

ハッキリ書くが、選手にとって監督の存在そのものはそれほど関係ないと思う。もちろん注意されたり、気に入らない指導をされたり、やりやすい、やりにくいという部分はあるだろう。それでも選手はグラウンドでプレーするしかない。

しっかりプレーできれば、鈴木が言ったように、監督がこわいとかどうとかはないはず。監督が考えること、戦法を実践できればいいだけ。それが正しければ勝てるし、そうでなければいい結果は出ず、監督がよくないということだ。

5回、無死二、三塁で放った佐藤輝明の犠飛はよかった。味方失策もあって先制を許し、イライラしているDeNAケイが簡単に投げ込んできた初球ストライクをはじき返した。スタンドインしていればなおよかったが犠飛でも効果的で、いい感じだったと思う。

指揮官・岡田彰布の今季限りの勇退が明らかになった。2年契約満了の既定路線か。正直、続投の目もあるかなと思っていたが、さまざまな要因でそうはならなかったようだ。就任1年目で日本一に導いたのはやはり驚きで“劇薬”のような60代の就任は大きな効果があったということだ。

もちろん若い選手からすれば「こわい」「苦手」と感じる部分もあったかもしれない。どう感じるかはそれぞれだが、大事なのは岡田のやってほしいことをやれたかどうか、だろう。その上で百戦錬磨のエキスを少しでも盗むことができていれば、なお、いい。CSは自分たちの成長を見せ、存在を高めるために戦う。それでいいではないか。(敬称略)

DeNA対阪神 5回表阪神無死二、三塁、犠飛を放った佐藤輝(左)とタッチを交わす岡田監督(撮影・江口和貴)
DeNA対阪神 5回表阪神無死二、三塁、犠飛を放った佐藤輝(左)とタッチを交わす岡田監督(撮影・江口和貴)