多くの虎党同様「おやっ?」と思ったのは6回、中日の攻撃が始まる前だった。「ショート小幡に代わりまして木浪」とのアナウンスが流れたのである。そこまで小幡竜平は2安打。接戦の中で代える理由があるかな。「TORACO DAY」で「推しの選手は?」とのランキングでトップに輝いた木浪聖也をファンサービスで出したか。さすがにそれはない。ということは…。

「もう少し待ってもらいたいかな、と。トレーナーから何かあるかもしれないです」。指揮官・藤川球児がそう言ったように何らかのアクシデントが発生した模様。小幡も「ボクから言えることはないです。(明日以降は)なんとも言えないです」と多くを語らなかった。結局、この日、明らかにされることはなかったが、試合出場を控える状況が生まれたのは確かだ。

思い出すのは一昨年、第2次政権の最初に小幡を起用していた前指揮官・岡田彰布(現オーナー付顧問)の言葉だ。「木浪がおるから小幡を使えるんよ」。経験の多い木浪を控えに置きながら、若い小幡を試せる状況をそう説明していた。

今回、木浪から小幡に代えた理由は違う。小幡はこの日まで21試合に遊撃で先発。特に4月20日の広島戦(甲子園)からは18試合連続だ。言うまでもない同19日の同カードで木浪が3失策をしてからのこと。球児はその点に明確にコメントしていないが、その後の起用を見ていると小幡をメインに考えていたと思う。

選手起用は監督の専権事項。どうこうは言えないが9連戦もあるし、遊撃スタメンは併用かなと予想していたので「思い切ったな」と感じていた。守備では木浪以上のモノを持つ小幡は打撃が課題だったが、この日も2安打するなど成長を見せてきたタイミングだ。この時点でまだ小幡の状況は分からないし、ひょっとして次の試合に出てくるかもしれない。だが、この交代の様子を見ると楽観もできないのだ。

阪神はこれで今季最多タイの貯金6とした。球児が「チームの心臓」というブルペン陣はここのところ休息できている。今週は変則日程で5試合だ。「軌道に乗せないといけないところ」。そう言うのはそんな面もあるからだろう。そんなとき、遊撃に生じた不安。代わるなら木浪だ。それで流れを引き寄せるか、あるいは。いずれにせよ、ここは1つの分岐点になるかもしれない。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

阪神対中日 6回、途中出場しグラウンドに一礼する阪神木浪(撮影・藤尾明華)
阪神対中日 6回、途中出場しグラウンドに一礼する阪神木浪(撮影・藤尾明華)
阪神対中日 9回表中日2死、遊撃手木浪は田中の打球に横っ飛びで好捕するが内野安打となる(撮影・上山淳一)
阪神対中日 9回表中日2死、遊撃手木浪は田中の打球に横っ飛びで好捕するが内野安打となる(撮影・上山淳一)