完勝だ。最下位に沈むヤクルト相手とはいえ、投げては酷暑のデーゲームで伊藤将司が復活をアピールする完封劇。

打っては打点王を争う3番森下翔太、4番佐藤輝明のアベック弾も出て、虎党にはこたえられないゲームになった。

前川右京が6番スタメンに復帰し、森下が右翼、佐藤輝もサードにそれぞれ戻って、開幕時のオーダーに回帰。シーズン後半に向けての落ち着きも感じられた。久々にゆったり見ることのできた試合だと思う。

そんな中、不思議というか“謎”ともいえる状況が続いているのに気づいている虎党、野球ファンは多いだろう。それは死球を巡る森下と佐藤輝の状況だ。

この試合、阪神が4得点した5回、森下がヤクルト・アビラから左手に死球を受けた。一瞬、頭部をかすめたように見え、ひやりとさせたが最悪の事態は免れた。森下はこれが今季8死球目。「7」で並んでいたDeNA牧秀悟を抜いて、単独最多となった。

「昔の野球なら、主力打者は2桁ぐらいの死球は普通にありましたね」。以前にそんな話を聞いたのは広島3連覇監督の緒方孝市(日刊スポーツ評論家)からだ。確かにかつてのプロ野球はもっと死球が多かったように感じる。

そんな中、今季ここまでで森下の「8」は多い。内角を厳しく攻められるのが強打者の宿命か…とも思うがそれを覆すのが佐藤輝だ。ここまで72試合に出場し、死球は「0」だ。

これについては前監督・岡田彰布(現オーナー付顧問)が前回に甲子園で巨人戦が行われた4月に「12球団の4番で佐藤輝だけ死球がない。そんなに厳しいインコースは来てないということ」などと指摘していたが、とにかく佐藤輝の死球がない状況は続いている。

どちらかと言えば体重移動が大きく、投手に向かっていく森下と、体重を後ろ足に残して球を呼び込む佐藤輝のスタイルの違いがあるのか、などと思ったりするが佐藤輝は新人時代から昨年までずっと死球を受けている。佐藤輝が内角攻めされる場面もあったと思うし、森下と対比が不思議な気はするのだ。

「球の見極め」がしっかりできていることが今季ここまで佐藤輝に死球のない理由なら、これ以上ないことだが、すっぽ抜けもあるし、そういうものでもないか。いずれにせよ死球はない方がいいに決まっているし、ケガには要注意だ。(敬称略)

【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

ヤクルト対阪神 8回表阪神1死、佐藤輝は右越え本塁打を放つ(撮影・足立雅史)
ヤクルト対阪神 8回表阪神1死、佐藤輝は右越え本塁打を放つ(撮影・足立雅史)