終わってみれば2-0の接戦だ。DeNAが8安打、阪神が6安打、ともに1失策。そろって拙攻と言えばそうだったかもしれないが阪神打線は足で勝った。そう言える試合内容だ。この勝利は意味がある。

村上頌樹、東克樹の両軍エースが5回まで無失点。だがこの時点で103球を投げ、苦しそうな村上に対し、東は同じく60球で快調なペース。それが一気に変わったのは6回裏だ。

1番・近本光司からの攻撃、そこまで2打数無安打の近本はここで遊撃内野安打を放ち、一塁に出る。すかさず中野拓夢が犠打を決め、1死二塁。そして3番・森下翔太の1球目に近本が三盗を決めた。1球目と書いたが投げる前のスタートで楽々、三塁を陥れた。

「作戦なのでそこは言えない部分」。外野守備走塁コーチ・筒井壮はそう話すに止めたが、サインにせよグリーンライトにせよ、明らかに東の特性を読み切っていた盗塁だった。これで1死三塁となり、森下が先制打につながるのである。

それだけではない。1死一塁で4番・佐藤輝明がフルカウントから放った中前へのポテンヒットで一走・森下は三塁へ走った。取られていれば併殺だったが野手の前に落ちることを見切った走塁だった。

「森下のああいう打球判断は一流。佐藤輝ともそう話していた」と筒井。さらにその佐藤輝だ。1死一、三塁で続く大山悠輔は三ゴロ。三走・森下が三本間に挟まれる。捕手・山本祐大が三塁へ追い込みながら結局、三塁手へ送球した。その動きをじっと見ていて佐藤輝はハーフウエーからダッシュ。三進に成功する。この佐藤輝が小野寺暖の適時打で生還し、2点目を上げるのだ。

「あれもシーズン中の反省を生かしたプレー。よかったですね」と筒井はこれも褒めた。打ち勝てればそれでいいがそれだけでは勝てない。こういう攻めができるからこそシーズンを圧倒できたとも言える。

「これはセ・リーグの最後の大運動会。秋はスポーツの季節だから」。CSを前に指揮官・藤川球児はそんなことを言っていた。就任以来、独特のワードセンスを発揮しており、これもその1つかな。そんなことを思っていたがこの試合を見て、感じた。走って、走って、まさに運動会、と。DeNAは巨人相手に好走塁を見せる場面もあったが「足攻」は阪神も得意。大きな1勝だ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

阪神対DeNA 6回裏阪神1死一、三塁、大山の三ゴロで三走森下が三本間に挟まれる間に三塁へ進んだ一走佐藤輝(右)(撮影・藤尾明華)
阪神対DeNA 6回裏阪神1死一、三塁、大山の三ゴロで三走森下が三本間に挟まれる間に三塁へ進んだ一走佐藤輝(右)(撮影・藤尾明華)