ははあ…と思ったのは試合前だ。マツダスタジアムでの広島3連戦を前に、指揮官・藤川球児は1つの決断を下した。ブルペン左腕として期待される及川雅貴をファームへ送ったのだ。
昨季はリーグ最多の66試合に登板して6勝3敗、1セーブ、46ホールド、防御率0・87の好成績をマーク。一気にブレークした及川。だが今季はここまでその力は発揮できていない。
前日2日のDeNA戦(京セラドーム大阪)は8回に登板し、2安打1四球で1失点。2点のリードを1点に減らし、冷や冷やの1点差勝利に。初登板の3月29日巨人戦(東京ドーム)でも逆転で白星がついたが同点の7回に登板すると泉口友汰に一時勝ち越しとされるソロを許していた。
その結果、2試合で防御率は9・00という数字になっている。そうは言っても貴重な左腕には違いない。なにせ、シーズンはまだ序盤も序盤。ここから本来の調子を出していけばいいのかな…と思っていたのだ。
だが指揮官は早い決断をした。そこで思い出したのは前日勝った後の会見だ。こちらは2カードで12球団唯一の「失策0」というコラムを書こうと思っていたので「チーム、守りも締まってますね?」という質問をしたのである。
それに対し、球児の答えは予測と少し違うものだった。「その分、選手たちの疲労もたまっていますから。うまくコントロールして、やっていかなければ」。そんな話をして、体調、コンディションに留意する意思を説明したのである。
阪神に限らず、こわいのは故障者だ。相手のことを言うのもなんだが開幕好発進の広島は期待のルーキー平川蓮が負傷し、失速している。投手を不調のまま起用するのはよくない。アクシデントは避けられないにせよ、未然に防げるところは防がなければならない。先を見たマネジメントということだ。
思い出すのは以前に球児が話していた話だ。「特に春先は体調に気をつけないとダメ」という趣旨だった。季節の変わり目に調子を崩すのは我々もそうだがプロ選手でもそこは同じなのだろう。納得できる話だ。
勝利後の囲み取材で「次のゲームを大事にしたいと思います」などと多くを語らなかった球児。その采配に大向こう受けを狙った派手さはないけれど、常に先を読んで手を打とうという意思、マネジメントは感じるのである。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




