1勝が遠い。少し前のどこかのチームのようなことを書かせてもらえば、そんな感じだ。横浜で2連敗を喫し、雨天中止を挟んで甲子園に戻った。その広島戦は今季最長ゲームの挙げ句にドロー。指揮官・藤川球児の「最速100勝」記録の更新はならなかった。4時間58分という試合は疲ればかりが残った印象だ。

長いシーズンにはいろいろな時期がある。その意味で言えば今が「どん底」という雰囲気ではまったくないけれど開幕からのダッシュが少しだけ息切れしてきた気はしないでもない。

1点を追う1回裏に森下翔太が死球を受けて暗雲漂ったが、なんとか事なきを得る。そして大山悠輔の犠飛で同点。連敗ムードを吹き飛ばす発進だったはず。さらに言えば広島は4回までに7安打を放ちながら1点だけ。これは逆転できる流れ…と思っていた。

しかし阪神も走者を出すものの決め手がなく、終盤へ。それでも8回、その森下の二塁打をキッカケに1点を勝ち越す。しかし直後の9回にクローザー・岩崎優が打たれ、延長へ突入。結局、そのままドローに終わった。チームに白星は付かず、繰り返すが指揮官の最短100勝記録は26日に勝って「タイ」というところに変わったのである。

「勝負は紙一重」。これは広島3連覇監督・緒方孝市(日刊スポーツ評論家)が監督時代から肝に銘じ、いつも口にする言葉だが、この日もそうだなと実感する。チーム状態が上がらずに弱っている広島相手にここまで快進撃を続けてきた阪神がこういう試合になってしまうのだ。

結果は仕方がない。だが拙攻というか犠打が決められないシーンが散見したのは少し気になる。4回の村上、そして延長11回には中野拓夢のバントが併殺になる場面もあった。ツイていないときはそういうものだろうが、これもめずらしいのである。野球の神様が阪神に意地悪しているような印象だったが、やはり細かいプレーは決めていかないと後に響くということか。

もちろん上位にいる阪神にとってドローは悪くないのも事実だろう。常に勝てるわけはない。貯金がある以上、負けなければ、まずはいいという面もあるはず。それでもなんとなく後味の悪い試合だ。

「また明日ですね」。試合後に球児が虎番キャップたちの取材に応じた時間はゲームのそれに反比例し、とても短かったのである。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)