「冷静ではありました」-。退場処分となった指揮官・藤川球児はそう振り返ったが、交流戦に入ってイライラは高じていると見る。梅野隆太郎のファーム行きが決まった試合前から、それは感じていた。

念のために書くが選手の起用を決めるのは監督の専権事項。それがいいとかよくないとかを指摘するのは難しい。最終責任は監督にあるからだ。だが見ている側が、そこに何があるのかを感じ、考えてしまうのは仕方がない。

6本塁打を浴び、惨敗した前日。苦手意識があるソフトバンクに3本柱の1人、才木浩人を立て、いきなり、そんな試合展開になった。この世界では、そういうとき怒られるのは捕手だ。それも仕方がない。

それでも、いきなりベテランを抹消するのか、とは正直、思った。若手なら「勉強してこい!」という感じだろうが、もう、そういう存在ではないだろう。そこに指揮官のイライラを感じたのである。

そして、この試合だ。下位打線で先制しながらまたしても本塁打で逆転される試合展開。簡単に「力の差」と言ってしまうのもどうかと思うが、確かにそういうものは感じる流れだ。誰でもイライラする。

それが高じたか。1点を追う7回表、熊谷敬宥の盗塁死をめぐり、球児がリクエストした。検証の結果でこれが覆らなかったことに抗議し、ルール通り、「退場」となったのである。

繰り返すが「冷静ではあった」と本人は言った。しかし、そもそも分かっていてそんな行動に出たのなら退場処分となるだけマイナスではないか。いや、1つだけ、それによるプラス作用が起こる可能性はあったかもしれない。選手の奮起を促すことだ。そんなことを思う“ホワイトボード殴打”だったか。

だが、この日に限っては逆効果になったかもしれない。退場直後の7回裏に登板した及川雅貴が近藤健介にこの日、2本塁打目を浴びるなどで3失点。この時点で負けの気配が確実になってしまったのである。

もしも、それを狙って体を張ったのなら、それにこたえられなかった選手も、ある意味、情けない気もする。だが、今のチームがそういう雰囲気かどうか。そこを読むのも指揮官の仕事だろう。まずは1つ、勝つことだ。このまま3連敗で大阪に帰っていいはずはないのである。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)