初出場の大曲工(秋田)は、地元名物「大曲の花火打線」が爆発し、英明(香川)を破り、県勢9年ぶりの勝利。

 大曲工の地元名物にちなんだ「花火打線」が、秋田県勢の近年の低迷を振り払う初陣1勝を飾った。1点を追う6回に1番佐々木駿と4番武田のタイムリーで逆転。7回にも2点を追加した。「秋田でもやれるんだぞ、というところを見せられた」と佐々木駿が胸を張った。

 相手投手が内角へ多投するのを察知した。6回以降、バッターボックスではスパイク半分程度、ホームベースから遠い位置に立った。阿部大樹監督(44)は「後半にヒットが出て、見違えるようになった」と選手の対応力を褒めた。ファーストストライクを積極的に狙ったのも奏功した。

 秋田県勢のセンバツ勝利は9年ぶり。2年前の夏、昨夏と東北勢5県が初戦突破したが、秋田だけ2年連続で涙をのんだ。夏の10年までは甲子園ワーストに並ぶ初戦13連敗も喫した。

 その低迷に県が腰を上げ、11年に「高校野球強化プロジェクト」を立ち上げた。堂林(現広島)を擁して09年夏の甲子園を優勝した中京大中京(愛知)前監督の大藤敏行氏(52)がアドバイザーの1人となり、今大会はチームに同行。試合までの心構えなどを選手にアドバイスした。

 積雪2メートル近くに及ぶ豪雪地帯で、歴代の保護者や先輩らの手作りの室内練習場が冬場の拠点。投球練習に3人が並べばいっぱいになるほどの狭さで、雪上ランニングなど創意工夫してきた。捕手の鈴木平は「雪が持ち味なんです」とハンディとは思っていない。春の訪れを待つ地元に、甲子園から一足早い春が届いた。【久野朗】

 ◆大曲の花火(全国花火競技大会)日本3大花火大会の1つで、歴史や伝統は最も権威ある大会とされている。第1回は1910年(明43)に行われ、現在は毎年8月の第4土曜日に開催。秋田・大仙市の人口は約8万6000人だが、100周年となった10年の大会は約80万人が集まった。

 ◆東北勢3校が初戦突破 八戸学院光星、仙台育英に続き大曲工も勝利。東北勢3校以上の初戦突破は04年の4校中3校(秋田商、東北、東海大山形)、13年の5校中4校(盛岡大付、仙台育英、聖光学院、山形中央)に次いで3度目。