村松が第3シードの十日町に延長10回、サヨナラ勝ちした。左腕エースの小林稜(3年)が1人で10回、177球を投げ抜いた。8安打、8四球を許したが、3失点に抑え、勝利に貢献した。
灰色の雲を吹き飛ばすような粘投だった。小林が8安打、8四球で3回以外は走者を背負ったが顔色ひとつ変えなかった。直球とカーブのコンビネーションで3失点。2回2死満塁のピンチを無失点で切り抜けるなど、勝ち越しは許さなかった。小林は「疲れてはいないです。思い切り投げられる自信はあった」と話した。
最後は打線が援護。延長10回1死三塁から、6番小鍛冶匠(3年)がサヨナラ安打を放った。劇的勝利を呼んだエースの粘りに、石塚厚己監督(47)は「(春まで)ダメなときは一気に崩れるタイプ。走者を出してからがテーマだったが、動じなくなった」と成長をほめた。実は、ピンチに動揺しない訓練を積んでいた。ダブルへッダーの練習試合では1試合目に登板。「2試合目は『出さない』と言っておいて、2試合目のピンチの場面で『お前行け』と送り出したことがある」と石塚監督。ピンチでの対応能力を養っていた。
背番号「1」をつけたのは1年秋からだ。経験豊富で、体力の消耗とも無縁だった。「暑い中でもグラウンドコートを着て走っていた」とスタミナアップの努力をしてきた。春までは強引に三振を取りにいくスタイルだったが、打たせて取る投球にモデルチェンジ。「守備のリズムをつくるため」と、勝利に徹する意識も芽生えた。
今年6月、控えの和泉哲投手(2年)が、右鎖骨を骨折。最後の夏を1人で投げ抜く決意を固めた。そんなエースの姿に、捕手の近藤光希主将(3年)は「1球1球、気持ちの伝わる強いボールがきた」と強調した。【涌井幹雄】

