北大会5年ぶり出場で5年ぶり優勝を目指す旭川実は、前年覇者の武修館を下した。

 旭川実が足で昨年覇者の武修館をかく乱した。3回無死一、二塁で坂口新監督(31)が出したサインはバスターエンドラン。1番冨永は空振りも、相手捕手の三塁悪送球を誘い、二走の鈴木が一気に生還して先制した。冨永は「結果オーライですが、本当はやってはいけないプレー」と反省したが、これで相手バッテリーの動揺を誘い、さらに2安打で3点を加え、一挙4点を奪った。

 武修館の先発、徳橋のけん制パターンを読んでいた。試合前に全員でクセを確認。先制のホームを踏んだ鈴木は「セットポジションに入ってからけん制があまりないと確認していたので、そこからリードを大きくしました」と、記録はダブルスチールとなった好走塁を振り返った。

 今春の関東遠征で作新学院や花巻東など、強豪校と10試合以上の練習試合を組んだ。エンドランなどを試し、通用したことから走塁に自信を深めた。4失策を犯し、先発吉田が被安打12でも勝てたのは、次の塁を狙う積極性が根底にある。

 坂口監督はあえて乱戦に持ち込む意図を持っていた。「向こうに負けじと走ろうと思った。めちゃくちゃな試合にして、相手のペースを崩すのが弱者の戦法です」。5年ぶり決勝の相手は白樺学園。自分たちのペースに持ち込めば、4度目の夏甲子園が見えてくる。【小林明央】