寺島の夏にする! 毎年恒例、高校野球特集の第1回は日刊スポーツ記者が全国の有望選手にスポットを当てる「ピカイチ投手編」。世代最強左腕の呼び声高いのが、履正社(大阪)寺島成輝投手(3年)だ。今春は近畿大会を制し、満を持して大阪夏の陣に挑む。6年前の同校OB、ヤクルト山田哲人内野手(23)と同様のスター街道を突き進む可能性を秘めている。

 履正社6年ぶりの夏を、寺島は狙う。前回出場時の10年は、トリプルスリー男、ヤクルト山田の夏だった。攻守で履正社をけん引した山田の活躍を、寺島もなぞることができるのか? 

 山田を育て、寺島を3年間見てきた岡田龍生監督(55)は「山田のように成功体験を積んでいけるかどうか」と語る。山田は3年春から急速に成長曲線を描いた。春の大阪、近畿、夏の大阪を制し、甲子園出場。高校日本代表に選ばれ、ドラフト1位を射止めた。寺島も今春の大阪で、入学以来初めての優勝。近畿大会も頂点に立った。

 昨秋の公式戦後、岡田監督は寺島に「まっすぐの質を高める」ことをテーマに取り組ませた。相手打者が直球と分かっていても、捉えられない直球を投げる投手への進化を求めた。今春の公式戦は5試合26回1/3を投げ、失点、自責ともにゼロ。8回無失点だった近畿大会府予選準決勝・汎愛戦で「この春1番、自分の思うところに投げられた」と手応えをつかんだ。難攻不落の投手になりつつある。

 「間違いなくドラフト1位の投手」(巨人益田スカウト)と、すでに評価は確定。狙うのは「夏の頂点」と寺島。6年前の山田のように1つの勝利を自信に変え、世代最強左腕は甲子園球児になる。【堀まどか】

 ◆寺島成輝(てらしま・なるき)1998年(平10)7月30日、大阪・高槻市生まれ。2歳で東京に引っ越し、国分寺第九小1年から「スカイホークス」で軟式野球を始め、同3年から投手転向。大阪に戻り、日吉台小4年から「茨木リトルリーグ」で硬式野球を始める。茨木東中3年夏に「箕面ボーイズ」で世界少年野球大会に出場し、優勝。183センチ、86キロ。左投げ左打ち。