1949年(昭24)以来、3度目の甲子園出場を狙う臼杵(うすき)が5-2で情報科学を下し、91年以来の4強に進出した。4番で主将の那賀一球(いっきゅう)内野手(3年)が名前のごとく「一球入魂」で先制適時打など4打数4安打2打点の活躍でけん引。今夏打率9割超えの打棒で昨秋の九州大会準々決勝敗退でセンバツを逃した借りを返す。

 臼杵の「いっきゅうさん」が、自慢の打力で打線をけん引した。1回無死満塁で「強くたたく意識だった」。右前打で先制点を挙げると勢いは止まらない。4回1死一、二塁でも中越え二塁打で加点するなど4打数4安打2打点の活躍だ。

 1カ月前、4番に起用されたばかり。だが山本一孝監督(57)の「秋は1番だったが最後なので大黒柱の4番で勝負した」との期待に応えた。準決勝へ、那賀は「ここまで来たら気持ち。マークされると思うが打ちたい」と気合を込めた。

 名前の響きからとんちで有名な「一休さん」が連想されがちだが、むしろ漢字は水島新司氏の野球漫画の方。由来について「大学までやった野球が好きで、1度聞いたら忘れられない名前にしたかった」と父啓史さん(49)。野球好きが高じて中学生の長女は「たま乃」、小学生の次男は「球道」と名づけた。そんな父の影響で小2から野球を始め、高校まで主将を任された野球少年だ。

 啓史さんが「俺が見本を見せるからついてこい。自分にも厳しい」とする性格。かつて38度の熱があっても練習や試合に臨んだ。だれにも負けない情熱でチームをけん引した。

 秋の九州大会準々決勝で海星に大敗しセンバツを逃した。そこから自主的に500スイングを課すなど追い込んできた。成果は実を結び、今夏3戦は11打数10安打、打率は9割9厘。準々決勝まで初戦の1打席目で凡退して以来、13打席連続出塁中だ。それでもおごりはない。「個人の記録よりチームが大事。みんなで甲子園に行きたい」と那賀。残り2戦に一球入魂で頂点を目指す。【菊川光一】

 ◆那賀一球(なか・いっきゅう)1998年(平10)11月24日、大分・臼杵市生まれ。市浜小2時から父の影響で野球を始める。臼杵西中から臼杵進学。本塁打は高校通算9本(公式戦1本)。180センチ、80キロ。右投げ左打ち。