大阪大会で、吹田のエース高木斗夢(とむ=2年)が投げて打って、延長15回の熱闘を終わらせた。序盤に桜塚に4点を奪われたが、4回以降は無失点を続け、延長15回1死二、三塁で自らサヨナラ打。15回を251球で投げ抜き、激闘にピリオドを打った。

 さわやかだった球場の空気が、じりじりと肌を焦がす熱気に変わっていた。午前9時に始まった試合が、午後0時半になっても終わらない。延長15回裏、吹田の先頭打者が空振り三振に倒れ、延長引き分け再試合までアウト2つ。瀬戸際でチャンスの灯がともった。

 3番・菊崎涼太内野手(3年)4番・松谷拓海内野手(3年)が連打で一、三塁。松谷が二盗を決めて二、三塁。5番の高木に打順が回った。

 178センチ、72キロの体で、251球を投げていた。過去は9回192球が最多。経験をはるかに超える死闘にも「吹田のトム」は冷静。「自分のスイングをしたら打てる気がしました」。3球目を振り抜いた打球は、執念が宿ったかのように、しぶとく三遊間を割った。三塁から菊崎がホームイン。サヨナラのヒーローは、一塁を回って飛びはね、バランスを崩してよろめいていた。

 「3回までに4点も取られて、これ以上取られたらヤバイと思って投げたら4回以降は抑えられた。守りのおかげです。最後は、喜びすぎて転びかけました」。8回と延長10回は2死満塁。11回1死二、三塁、13回は2死一、三塁と再三のピンチを乗り越え、3時間33分を戦い抜いた。

 「夢に向かって」の意味を持つ「斗夢」の名前。7打席目の初安打と251球熱投で、2年ぶり4回戦の夢をかなえた。【堀まどか】

 ◆吹田 1950年(昭25)創立の府立校。普通クラスと進学クラスのある普通科で、普通クラスには保育園や幼稚園の先生を目指すこども未来専門コースがある。主な卒業生はお笑いコンビ麒麟の田村裕、女優の平岩紙。野球部の甲子園出場はない。吹田市原町4の24の14。浅田明子校長。