和歌山県勢は12年夏から今春まで8戦続けて初戦負けだったが、市和歌山が星稜を後半突き放し、長年の重荷を下ろした。同校の勝利は05年センバツ(当時は市和歌山商)以来11年ぶりで、現校名では初。

 魔物がすむといわれる甲子園。エースの赤羽はバント処理で尻もちをついた。二塁手の河崎主将はグラブに捕りきれなかった打球を蹴った。2年前の夏初戦には延長12回裏1死一、三塁で、内野ゴロを二塁手が一塁に送球しサヨナラ負けする悲劇もあった。「甲子園は怖いと、あらためて感じた」と河崎が言う。それでも必死に守った。8回にはトリプルプレー寸前のプレーがあるなど、猛練習で得た守備力が大会タイの1試合チーム5併殺につながった。

 2年前に右翼を守った大島空也さん(19)は「この勝利を喜びたい」とアルプス席から拍手を送った。河崎主将も「ようやく勝てました」と笑顔になって、次の戦いへ目を向けた。

 ◆チーム1試合最多併殺5 市和歌山が星稜戦で記録。04年に明徳義塾が盛岡大付戦で記録して以来、5度目の大会タイ。