2年ぶり3度目の優勝を狙った仙台育英(東北・宮城)が履正社(近畿・大阪)に1-5で敗れ、初戦で姿を消した。先発したエース左腕長谷川拓帆(2年)が立ち上がりから制球が定まらず、6回3安打ながら8四球3失点。打線もわずか5安打に封じられ、新チーム始動後の公式戦連勝が11で止まった。

 微妙に狂った感覚のズレを最後まで修正できなかった。県大会から東北大会まで55回3失点と抜群の安定感を誇った長谷川が首をかしげた。「投げてる途中でフォームがしっくりこなかった。腕の出方が違った」。県大会通じて1試合平均2個の与四死球がこの日は8個。2回から4イニング連続で先頭に四球を与え、2回2死二塁から123キロの決め球スプリットを中前に運ばれ先制点を献上。終始リズムに乗れなかった。

 自己最速を2キロ更新する143キロ直球で、初回先頭から見逃し三振を奪って波に乗ったかに見えた。続く2番を三ゴロに抑え、188センチの3番安田尚憲内野手(2年)には力勝負を挑んだ。厳しく内角を突くも四球。捕手の尾崎拓海(2年)は「あそこから、悪いときの癖が出て力んでしまった」と回想する。長谷川も「体が開いてシュート回転して、内角に投げる時に力が入ってしまった」と悔しがった。

 打線も沈黙した。2回2死一塁から15人連続で凡退。主将の西巻賢二内野手(2年)は相手先発の竹田祐投手(2年)について「出どころが見づらいし、球速以上に伸びてきた」と下を向いた。佐々木順一朗監督(57)は「体つきが全体的に大人と子どもくらい違った」と脱帽した。仙台育英の先発9人の平均身長は相手より7センチ低い171センチ、同体重も9キロ少ない68キロ。体つきでも圧倒された。

 照準をセンバツに切り替える。長谷川は「投げ込みで下半身を鍛え、分かっていても打たれない直球をつくっていく」と前を見据えた。この日1安打止まりの西巻も「1人1人の打力の向上が必要。今のままだったら春は今日と同じ結果になる」と引き締めた。この悔しさを糧に、一回りも二回りも成長した姿でセンバツに殴り込む。【高橋洋平】