静岡（東海・静岡）が、早実（東京）と互角に戦い来春センバツへの手応えを得た。３－５で敗れるも、左腕エース池谷蒼太（２年）は、強力な早実打線から７奪三振。清宮幸太郎主将（２年）には２安打を浴びたが、気後れせずに勝負して打ち取る場面もあった。打線は小柳廉主将（２年）の先制適時打など、早実を上回る９安打を放った。

　９回表２死一塁、村松開人内野手（２年）の打球を一塁清宮が落ち着いてさばきゲームセット。静岡の神宮初勝利が消えた瞬間、池谷はサバサバとした表情で整列に向かった。

　清宮を封じきれなかった。１回裏１死一塁、甘くなったスライダーを右前に運ばれ、４番野村大樹内野手（１年）に死球を与えて満塁にした。５番小西優喜外野手（２年）にも死球で押し出しの同点。３回には清宮、野村への連続四死球から２点を勝ち越された。

　池谷　準備してきたつもりが雰囲気にのまれてしまった。３、４番を警戒しすぎて自分の投球ができなかったです。

　７四死球と制球に苦しんだ池谷だが、４回からは直球主体に切り替え、調子を取り戻した。ストライク先行で７奪三振のうち、５つを４回以降の５イニングで奪った。５回裏、清宮との３度目の対戦ではスライダーを見せ球に内角の１３３キロ直球で詰まらせて一邪飛に仕留めた。森康太朗捕手（２年）も「後半は徐々に良くなって、通用する部分もあった」と言った。

　だが、７回裏２死から再び清宮につかまった。外角を狙った直球が内角に入り、弾丸ライナーで右翼フェンスまで運ばれた。その後、自らの暴投などで２死一、三塁とし、５番小西に決勝の２点適時三塁打を許した。清宮との対戦成績は３打数２安打１死球で「怖くはなかったですが、すごい打者。スイングが強かった」と負けを認めた。その上で「自分のボールはまだまだ未熟。ストレートの質、変化球の精度、大舞台での精神面も含めて成長していきたい」と言った。

　それでも池谷の小気味いい投球は、スタンドのＯＢら静高ファンを魅了した。冬を越して迎えるセンバツ。その成長ぶりが楽しみになってきた。【鈴木正章】