函館地区では江差が延長の末、函館ラサールに6-5と競り勝ち、14人の部員が14年ぶりに代表を決めた。

 うれし涙が止まらない。昨夏の代表決定戦は同じ函館ラサールに0-19で敗れた。2年越しのリベンジを果たしナイン、指導陣は何度も抱き合い喜びを分かち合った。部員14人でつかんだ14年ぶりの地区突破に、疋田颯(ゆう)主将(3年)は「すごい…うれしいです」。目を真っ赤にして何度も大粒の涙をぬぐった。

 “しくじり先生”を全員でカバーした。同点の9回1死三塁に三沢直人監督(41)がスクイズのサイン。だが相手投手に外され打者は三振、三塁走者もタッチアウトとなり指揮官は「読まれやすい場面。あせってしまった」と反省した。直後のベンチでは「申し訳ない。負けたら全部俺の責任だ」と声をかけた。延長10回2死二塁、7番深見倫太郎捕手(2年)が右前に決勝の適時打を放った。「絶対に打ってやろうと思った」。指揮官の素直な気持ちに応えた。

 昨夏の代表決定戦は初回に13失点した。今年は夏独特の雰囲気にのまれないため“声”を鍛えた。冬場の体育館練習は道内強豪校のブラスバンドの音源を大音量で鳴らした。どんなに叫んでも仲間に伝わらない。今大会、劣勢でも14人の元気な声は球場に響き渡り、粘り強さにつながった。

 この日、江差町内では「かもめ島祭り」が開催された。例年、同校の3年生は江差音頭千人パレードに参加するが、全校応援となった。総勢生徒300人の声援と町に勝利を届けたい思いも力になった。南大会に向け「人数は出場校でも少ないと思うが、函館の代表として恥ずかしくない戦いをしたい」と疋田主将。さわやか14人が次は札幌円山で躍動する。【西塚祐司】