熊本工の山口翔投手(3年)は、最後の打者に自己最速となる151キロをマークしての3安打2失点完投勝利。

 「肥後の快速右腕」が夏初戦からエンジン全開だ。プロ注目の熊本工・山口が、最後の打者に自己最速となる151キロをマークして3安打2失点完投勝利。バックネット裏に詰め掛けた国内11球団のスカウトをうならせた。

 この日投じた136球目で本気を出した。9回2死走者なしで9番打者相手にスイッチを入れた。カウント0-2から力を込めた直球がファウルとなるとスコアボードに「151キロ」。続く137球目も150キロを表示した。結局、スライダーの空振り三振で今夏初戦を勝利した。

 山口 あと1人だなというのと、最後にもう1度気を引き締めるつもりで投げたら、スムーズにタイミングよく力が伝わった感じがあった。

 この日の1球目は140キロの直球でストライクを取った。「今夏は『オンとオフでギアチェンジ』するイメージです」。スタミナ対策で走者がいないときには「オフ」で制球力を重視。ピンチになると「オン」でギアをトップに入れる投球だった。「メジャーのダルビッシュ、田中投手の特集をテレビで見て、オンとオフの切り替えが大事だと思った」と成長をアピールした。

 今センバツは初戦敗退。「夏は絶対に見返したい」。センバツ後にブルペン投球を1日平均100球から200球へと増やし「試合を想定した投げ込みもした」と自己最速2キロ更新につなげた。「(早実の)清宮君と甲子園で対戦したいし、まずは熊本で優勝しないと」。たくましくなった右腕が激戦火の国を封じ込める。【浦田由紀夫】

 ◆山口翔(やまぐち・しょう)1999年(平11)4月28日生まれ、熊本市出身。父の転勤で小4から広島に移住。「高陽スカイバンズ」で野球を始める。小6から熊本へ戻り日吉小、日吉中の軟式野球で主に投手。熊本工では1年秋からベンチ入り。2年春からエース。センバツは初戦で智弁学園に敗退。家族は両親と妹。181センチ、76キロ。右投げ右打ち。