北北海道大会では、2年ぶりの甲子園を狙う白樺学園が公式戦初スタメン沢田夏来左翼手(2年)の3安打の活躍などで、昨夏の代表校クラークを撃破した。

 チームが認める練習の虫が打線を勢いづけた。公式戦初スタメンの沢田が3安打1打点の大当たりだ。初回1死満塁で右前に先制適時打。3、5回は左前安打。その後2打席は2四球と全5打席で出塁。昨夏覇者を13安打の猛攻で破る先兵役となった。「いつも通りのプレーができました」。緊張はあったが打席に入る前に曇り空を見て落ち着かせる、独特のルーティンで快音を響かせた。

 沢田の自主練習は亀田直紀部長(30)から「寝てる以外はずっとバットを振ってる」と心配するほど熱が入る。寮で午前5時に起床。点呼まで羽根打ちなどを約1時間続け、チームメートが合流する朝練でもスイング。夕方の練習を終え、夕食後も朝と同じように淡々とこなす。「練習はうそをつかないという言葉を信じてます。結果が出なくてもめげずに続けてきました」。妥協を許さない沢田に、戸出直樹監督(41)も「一番練習をしている選手が活躍してくれた。後輩の励みにもなる」と手放しで喜んだ。

 攻守がかみ合った。初回に2点を奪い、5回は6番小笠原がしっかりスクイズを決めリードを許さなかった。腰の張りで地区は登板できなかったエース牧野も復活。昨秋、左手首骨折を押して出場した4番佐藤は3安打をマークした。今春は11季ぶりに道大会を逃したが、戸出監督は「選手がやっとそろって万全な状態」とうなずいた。

 7月14日生まれの沢田は夏来(なつき)と名付けられた。「女の子っぽいけど珍しいので気に入っています」。次の網走南ケ丘戦に向け「欲を出しすぎずに落ち着いて打席に立ちたい」。攻守の軸が戻り、頼もしい2年生が台頭した。十勝の雄が2年ぶりに聖地を踏む夏が来る。【西塚祐司】