2008年ベスト8、1999年には県準優勝を果たした桜丘が、この夏4戦目で敗れた。

 エース平本壮介投手(3年)が6回を投げ、9安打6失点。昨秋の県王者、慶応打線に押し込まれた格好だった。

 昨年夏からエースナンバー「背番号1」を背負う平本。昨年の夏は初戦敗退だった。「僕のせいで、先輩の夏を早く終わらせてしまったのが悔しくて。もう野球できないと悩んだ時期もありました。負けた直後、(監督の)泉田先生に『辞めます』と伝えたんです。先生からは『来年は、お前に引っ張って欲しい。最高の夏にしようぜ』って言っていただきました。だから、そこから、また頑張れたんです」。平本はサイドスローに磨きをかけ、2年連続で「背番号1」をつかみ取った。

 3試合に勝って慶応に負けた。「4回戦進出が1つの目標だったんです。コンクール直前の吹奏楽部の3年生も応援に来てくれて、ありがたかった。勝ちたかったけど、悔いなく終われたのは良かったです」と涙ながらに語った。泉田監督との約束、最高の夏になったのかと聞くと「楽しかったです」。平本は、泣き腫らした真っ赤な顔で笑った。