藤枝明誠が4-1で加藤学園を下し、創部34年で初の4強入りを果たした。U18日本代表1次候補の久保田蒼布(そう)投手(3年)が、4回まで無安打に抑える好投。流れが傾きかけた終盤も動じることなく、5安打1失点で完投した。

 9回裏2死一塁、久保田は最後の打者を右邪飛に打ち取り、右拳を握った。チームメートとハイタッチをかわし、安堵(あんど)の笑顔を見せた。1983年(昭58)の創部から34年で初の夏4強。大会通算30勝の節目にも重なった。

 久保田 暑くない天候で投げやすく、自分のテンポで投げることができました。目の前の試合に集中していたので、4強の数字は意識しなかったです。

 4回までは無安打に抑えた。2回2死から4者連続三振を奪うなど、直球の制球力、変化球のキレも最高の状態だった。5回裏、先頭打者に初安打を許すも、後続はきっちりと抑えた。7回表には1死二、三塁の好機を得たが、スクイズ失敗で追加点を奪えなかった。だが、久保田は表情を変えなかった。応援に来た昨年のエース江野瑞紀(神奈川大1年)は、その姿に久保田の成長を感じていた。「あの後も淡々と投げていましたね。昨夏の静岡戦で途中降板した時に比べると、メンタル面が違います」と話した。

 昨夏2回戦、先発して静岡打線に打ち込まれた久保田は、今春の県準決勝でも、静岡に3-4のサヨナラ負けを喫した。9回裏1死満塁で1人で抑えようとし、周りが見えていなかった。だが、今は支えてくれる仲間の存在を感じ、落ち着いて投球できているという。「いつも声をかけてくれるので、気持ちを保つことができます」。

 準決勝では因縁の静岡と対する。現チームは秋季中部地区決勝でも敗れている。久保田は言った。「自分の投球をするだけです。次こそは勝ちます」。リベンジへ。最高の舞台が整った。【大野祥一】