高崎健康福祉大高崎(群馬)は4番山下航汰一塁手(2年)が5試合連続の本塁打を放った。4回、中堅へ特大の1発。1大会5本塁打は、00年の前橋工時代の狩野恵輔(34=阪神)を抜き県内記録となった。今春センバツで史上2人目の1大会2本の満塁弾を放った主砲の活躍で、7回コールド勝ちで決勝に進出した。今日27日、決勝で前橋育英と対決する。

 山下の豪快な1発に観客も一瞬、打球を追って静寂となった。3点リードの4回、先頭で打席へ。フルカウントから高めに浮いた速球をバックスクリーンへ運んだ。球場が大歓声にかわった中、堂々とダイヤモンドを回った。山下は「バットの少し先でしたが、左手でうまく押せました」。高校通算29号で勢いに乗った打線は、この回一挙4点を奪った。

 「清宮(早実)流」で課題を克服した。山下はここまで4試合で4本塁打を放っていたが、イニングの先頭打者としての打席は4打数無安打だった。「変に出塁しようと思って逆方向を意識していた」。その姿を見た生方啓介部長(36)から試合前、「4番なんだから、清宮君みたいに勝者のように振る舞え。お前に求めているのは長打」とアドバイスを受けた。

 役割が明確になり気持ちも楽になった。「打った瞬間は、センターライナーかと思った」という打球だったが、フルスイングでグングン伸び中堅122メートルのサク越え。今春のセンバツで、大会史上2人目となる1大会2本の満塁弾を放ったパワーを見せつけた。

 本来はチームスローガン「機動破壊」を掲げ、走塁面が目立つ攻撃陣だが、主砲がけん引する打線は1発攻勢を演じた。続く5番高山遼太郎外野手(2年)も右翼席へ本塁打を放ち、2回戦の西邑楽戦に続く今大会2度目のアベック弾。5試合で46得点の破壊力だ。

 今日27日の決勝では、4季連続県大会の決勝で敗れている前橋育英と対戦する。山下は「140キロを超える投手が4人いるが、真っすぐに振り負けたら話にならない。先頭に立って引っ張りたいです」と意気込んだ。量産態勢に入った男が15年以来となる夏の甲子園に導く。【太田皐介】

 ◆山下航汰(やました・こうた)2000年(平12)11月15日、大阪・柏原市生まれ。小3から野球を始め、中学時代は羽曳野ボーイズで通算22本塁打を放ち、3年時にはジャイアンツカップで優勝。高崎健康福祉大高崎では1年夏から4番を任され、高校通算29本塁打。珠算3級、暗算4級、剣道4級。173センチ、85キロ。右投げ左打ち。

 ◆高校野球の連続試合本塁打 地方大会のデータは一部不明だが、88年夏の島根大会で谷繁元信(江の川=現石見智翠館)が安来、江津(3打席連続)、松江東、平田、大社と大会全5試合で7本打っている。複数大会にまたがった公式戦の連発では、山口幸司(大宮東-元中日)が87年秋の埼玉大会ブロック予選決勝(対市川口)から翌88年春の対大宮北まで、清宮幸太郎(早実)が今年の春季都大会準々決勝(対駒大高)から夏の西東京大会5回戦(対法政)まで、それぞれ8試合連続で放っている。