夏の主役は俺たちだ。大阪大会では今春センバツVの大阪桐蔭が、3年ぶり9度目となる夏の甲子園出場を決めた。大冠(おおかんむり)を10-8で下した。大一番男、藤原恭大外野手(2年)が6回に決勝ソロを放った。センバツで大会初となる決勝戦2本塁打をかっ飛ばした男が、燃える舞台で力を発揮。早実・清宮が出場を逃した夏、王者が史上初となる2度目の春夏連覇に挑む。

 歓喜の輪へ、藤原は最後に飛び込んだ。大冠の猛反撃をしのぎ、3年ぶりの大阪制覇だ。センターから俊足を飛ばす。マウンドにできた仲間の輪にとけ込み、勝利の雄たけびを上げた。

 「気持ちいいというか、最高の気分でした」

 決勝の舞台でまた存在感を見せた。4-4の6回1死走者なしで第4打席を迎えた。5球目。高めの直球を仕留めた。右中間へ勝ち越しの決勝ソロ。「狙っていました。ホームランは狙って打つタイプなので」と胸を張った。

 大舞台でこそ燃える。今春全国制覇を果たしたセンバツ決勝で、藤原は先頭打者アーチを含む2本塁打を放った。中学時には2年時と3年時に2年連続で全国大会Vを経験。そのうち、3年春の全国大会では投手として登板しながら、16打数13安打とバットでも大暴れした。「負けん気が強くて、目立ちたい気持ちがあります」。前日29日の履正社との決戦でも7回逆転劇の口火を切ったのは藤原だった。この日は1発だけでなく、8回、リードが2点となって迎えた無死一、二塁でも中前適時打。「決勝では結構打ってるので、強気で行きました」。持ち前の勝負強さをアピールした。

 この日、遠く離れた西東京大会では早実が決勝で敗れた。藤原と早実・野村は、中学時同じチームで戦った仲間。「早実には清宮さんや野村とか、いいバッターがいるのでやりたい気持ちはありました」。対戦の願いは実現しなかったが、大阪桐蔭として大きな目標がある。3年ぶりの夏の聖地は、同校2度目の春夏連覇がかかる。

 過去2度春夏連続優勝を達成したチームはない。西谷浩一監督(47)は言った。「100年近い歴史の中でどこもやったことがないと聞くと挑戦したい気持ちになる。せっかくのチャンス、頑張りたい」。その西谷監督が出塁時でもノーサインで盗塁の判断を任せるほど、信頼を寄せているのが藤原。偉業を成し遂げ、今夏の主役になる。【磯綾乃】

 ◆大阪桐蔭 1983年(昭58)創立の私立校。生徒数は2089人(女子861人)。野球部は88年創部で部員数63人。甲子園出場は春9度、夏は9度目。春は12、17年に、夏は91、08、12、14年に優勝。主なOBは、日本ハム中田翔、阪神藤浪晋太郎ら。所在地は大東市中垣内3の1の1。小野研一校長。

◆Vへの足跡◆

1回戦13-1大手前

2回戦14-1千里

3回戦6-1渋谷

4回戦5-0同志社香里

5回戦6-0金光大阪

準々決勝15-9興国

準決勝8-4履正社

決勝10-8大冠