東陵のエース右腕佐藤瑞輝(3年)が、志願して0-4の9回に再登板した。「これ以上は点を与えたくないと思って」。千葉亮輔監督(46)は「8回の守備に就く時に、『行かせてください』と。アピールしてきたのは初めて。私も悔いを残したくない。(佐藤瑞中心の)そういうチームづくりをしてきたので」。だが2本の安打を浴びて、仙台育英に決定的な5点目が入った。

 前日7月30日の引き分け再試合は168球を投げ抜いて15回を完投した。「初めての延長、連投も初めてだった」と、公式戦では体験のない2日続けての先発。さすがに球にキレがなかった。3回に2死から死球をきっかけに連打を許し、右腕の加藤篤紀(3年)にマウンドを譲った。「なかなか昨日のピッチングができなくて。チームに迷惑をかけてしまった」と目を真っ赤にした。この日は63球を投げ、3回2/3、4失点の内容だった。

 完成度の高かった1つ上の代に比べ、千葉監督は「1年前はどうなるのか」と心配するほど力は低かった。佐藤瑞がエース、4番打者として常にチーム引っ張り、4強は昨夏に並んだ。延長15回引き分け再試合を含め、今夏は7試合近く戦ったことになる。「本当に楽しかったです。まさか育英さんと2日間、試合をできるとは思っていなかった」。最後は笑顔になった。【久野朗】

 ◆仙台育英対東陵 激戦VTR 7月30日に激突した準決勝で延長15回引き分け再試合となった。東陵の先発佐藤瑞が15回2失点で投げきったのに対し、仙台育英は3投手の継投で2失点と粘った。両軍計23安打を打ち合って、試合時間は3時間21分。春の県大会は仙台育英が準決勝で敗れており、リベンジした。