弘前東が八戸学院光星を延長10回の末3-2で破り、初の決勝進出と2年連続2度目の東北大会出場を決めた。10回表、4番桜庭佑希也中堅手(2年)が3試合連続のホームランを放ち、これが決勝点となった。青森の私立の成長株が初めて光星を撃破した。

 弘前東が最後に試合の流れをつかみ、離さなかった。2-2で迎えた9回裏、1死一、三塁の絶体絶命のピンチ。3人目の投手、竹内悠人(2年)をバックがもり立て、遊飛、中飛に打ち取って切り抜けた。ナインは雄たけびを上げて10回表の攻撃に移った。

 先頭の桜庭が1ボールの後の2球目をたたいた。右越え本塁打にナインは大歓声を上げ桜庭はガッツポーズで応えた。その裏、光星の先頭にヒットを許したが、竹内が踏ん張って3人を飛球に打ち取ると、ナインは跳び上がり、抱き合いながら喜び合った。

 桜庭は今大会2回戦の三沢戦(ソロ)、準々決勝の弘前学院聖愛戦(2ラン)に続く3試合連続アーチ。高校通算33号は横綱光星を倒す決勝の1発となった。桜庭は「雨が降ってきたので、相手投手の変化球が抜けるのを狙っていた。2球目にちょうどそれが来た。手応え十分でした」と笑顔で話した。

 桜庭は黒石中軟式野球部出身。打力を買われ、1年春からベンチ入り、1年秋から4番を打ってきた。打席に入ると、いったん腰を落として、元に戻して投球を待つ。「1年の時、先輩にアドバイスを受けた。重心を低くして打てるようになった」という。

 葛西徳一監督(32)は「いつもはね返されてきたが、やっと光星さんに勝てた」と感慨深げ。就任して8年目だが、昨秋県大会準決勝は4-5で惜敗など、過去6回対戦し6敗。7度目の正直だった。青森山田と光星の2強、さらには聖愛、八戸工大一を加えて私立4強などといわれた青森球界。じわじわと上昇してきた弘前東が、ついに光星を倒した。

 東北大会出場を決めたが、桜庭は「まだ明日がある。青森山田に勝たないと」と決勝をにらむ。青森山田にも過去2回対戦し白星がない。新しい歴史を刻む時が来た。【北村宏平】