酒田南が、驚異の1年生・伊藤海斗投手の2戦連続本塁打など3本のアーチで、東海大山形を12-2で下し2年ぶり10度目の優勝を果たした。1回表、4番伊藤海が右翼場外に3ランを放ち先制すると、3回は主将の5番池田昂平内野手(2年)の2ラン、8番樋口祐生外野手(2年)の3ランなど打者12人の猛攻で6点を奪い試合を決めた。

 新怪物が、また打った。初回1死二、三塁、フルカウントからの7球目をフルスイング。「打ったのは真ん中内寄りの直球。野球人生で一番の感触だった」と完璧に捉えた打球は、両翼100メートルと広い球場の右翼場外へ消えた。前日(23日)の準決勝・日大山形戦では公式戦初本塁打となる満塁弾で宿敵を下した男が、この日も爆発した。

 公式戦2度目の登板となったマウンドでも躍動した。「緊張もあったが、楽しく投げられた。キレとコントロールを意識した」と最速135キロの直球にスライダー、カーブを織り交ぜて7回を被安打3、1失点。「打撃の方が好き」と言い、DeNA筒香嘉智の逆方向への長打、西武菊池雄星の右打者内角へのクロスファイアを目標に、投打両面での進化を目指している。

 帽子のつばには、好きな漫画のタイトル「バカボンド」と書き込む。「宮本武蔵など登場人物の男らしいところがかっこいい。自分も中途半端は嫌い。試合中に見るとやる気が出る」。頼れる怪物1年生が、酒田南を02年以来16年ぶりの選抜出場に導く。【林野智】