春夏通じて甲子園初出場の中央学院(千葉)を引っ張るのは「エースで4番」の大谷拓海投手(2年)だ。「打つのも投げるのも好き。甲子園では150キロを出して打者では4番の仕事をしたい。逆方向の打球なら全国でもトップ争いできると思う」。通算25本塁打を放ち、投げては最速145キロ。昨秋の明治神宮大会では明徳義塾に敗れたが、逆方向の左翼席へぶち込みスカウト陣を驚かせた。

 「ニューオオタニ」で聖地に立つ。調子が上がらなかった昨夏は、県大会後に一時期練習で遊撃を守った。体重移動がスムーズになった一方で、野手を経験したことで以前より肘の位置が下がった。「秋に直そうとしたけど間に合わなかった。今は肘の位置を上げて投げていて、縦回転になったことで球速も3キロぐらい上がった気がする。冬の練習の成果が出ていると思う」と手応えを口にした。

 シュート回転が減り、左打者への苦手意識がなくなった。大阪桐蔭・根尾や藤原ら強打の左打者と当たっても「内角を攻めたい」と真っ向勝負を挑むつもりだ。もう1つ克服したのが「コミュニケーション」だ。1月、野球部では「メディアトレーニング」を敢行。元アナウンサーに手ほどきを受けた。「取材は苦手でしたが、何をどう話せばいいか考えられるようになった」。考えを整理して伝える作業は、バッテリー間にも好影響を生んでいる。

 「一番当たりたいのは明徳義塾。今度は勝てると思う」。本家二刀流のエンゼルス大谷翔平投手(23)については「特に意識しません」とクールに話すが、初の甲子園で大暴れする準備は整った。【和田美保】

 ◆大谷拓海(おおたに・たくみ)2000年(平12)7月13日、千葉県生まれ。小2から野球を始め、滝野中では船橋シニアに所属。中央学院では1年春から外野手で出場し、秋からエース。昨秋の関東大会では主に「4番投手」で初優勝の立役者となった。180センチ、77キロ。右投げ左打ち。