第90回選抜高校野球大会(23日開幕、甲子園)に出場する駒大苫小牧(北海道)が13日、滋賀県甲賀市内で、昨秋の近畿大会に出場した比叡山(滋賀)と、18年初の対外試合を行った。ダブルヘッダーで第1試合は10-11、第2試合は5-3で、1勝1敗だった。雪辱した第2試合では、8回1死二塁で4番・横地颯左翼手(2年)が、18年チーム1号となる左越え2ランを放つなど、5打数3安打3打点と爆発し、好調ぶりをアピールした。組み合わせ抽選は16日に行われる。

 “駒大苫小牧の神奈月”が豪快な1発で18年1勝を引き寄せた。1-3とリードされた8回1死二塁、内角高めの直球を、軽々と左翼スタンドに運んだ。初戦は10-11の逆転負け。合宿初戦で漂いかけた重い空気を一振りで吹き飛ばすと、次の9回2死一塁では、左中間をゴロで抜ける適時三塁打。「当たりとしては本塁打より三塁打の方が良かった。内角を、腕をたたんで打ち返せた。手応えはあった」と振り返った。

 午前に行った第1試合の5回1死二塁、代打で出場し頭部に死球を受け、負傷交代。異常はなく午後の第2試合でしっかり勝利に貢献した。「特に問題なくやれました」。恐怖心を封じ込め、チームの1勝のため、体を張った。

 ストイックに打撃を突き詰めるタイプ。滋賀合宿では朝5時前にチームで一番早く起き、素振りをしてから散歩に向かう。「誰よりも多く練習したいから」。佐々木孝介監督(31)は性格については「すごい努力家」とし、見た目の特徴は「ものまねの神奈月に似ている」と言う。極限まで研究し磨き上げたネタで爆笑を誘う本家のように、練習への貪欲な姿勢が持ち味。この日は同点2ラン、ダメ押し三塁打と畳みかけ、同監督は「横地に1本出たのは大きい」と喜んだ。

 昨年11月の明治神宮大会は6番左翼で出場。大阪桐蔭相手に4打数2安打と気を吐くも初戦で敗れた。「波があっては全国で勝てない。今日も2打席目まで納得いかなかった。最初から、初球からバンバン打って相手にプレッシャーを与えられるように。そのためにもっとバットコントロールを磨かないと」。笑いも野球も、つかみが肝心。1打席1球目から相手を威圧できる打撃を身につけ、聖地での勝利につなげる。【永野高輔】