初出場の乙訓(京都)がおかやま山陽に快勝し甲子園初勝利を挙げた。元横浜(現DeNA)投手の染田賢作部長(35)は「幸せです」と笑顔を見せた。

 同大から04年に自由獲得枠で横浜に入団。しかしプロでは2試合に登板のみの未勝利で08年に自由契約に。その後同大の大学院で教職を取り15年4月に乙訓に赴任した。

 一塁側アルプスは満員の応援団で埋まった。「たくさんの方に来ていただいて力になりました。何よりこの場に立たせてもらって感謝しています。生徒には『あの声援を見たら勝たなあかん』と言いました。見事、期待に応えてくれました」。

 自身も奈良・郡山3年夏の甲子園に出場。0-12で初戦敗退した。プロでも白星は挙げられず、スーツにネクタイ姿だったが部長として、甲子園で初めて勝利を味わった。

 この日は佳世夫人(35)と2人の娘さんも甲子園で応援。「プロを辞めてから家族には迷惑をかけた。あの応援を見て喜んでくれたと思います」と話した。

 チームでは部長とコーチを兼任する。もちろん4年間のプロ生活で得た経験を生徒にも伝えている。

 「プロで活躍している選手はこういう人が多かったよと。プロの人はキャッチボールをすごく大切にしていたよと。キャッチボールからコントロールを意識している。三浦大輔さんはキャッチボールを丁寧にしていた。ボールの回転からフォームも意識しながら投げていた。そのへんを生徒が入学した時点から指導しています」。

 この日は教え子の2人の投手の継投で勝った。

 先発の富山が4回を2失点と粘り、5回からリリーフした川畑が5回をわずか3安打無失点に抑える見事な投球を見せた。

 「富山は調子は悪かったけど良く粘った。本来はもっと真っすぐで押していける子。川畑は安定していました。とやかく言う必要はないです。自信もあったと思います」と嬉しそうに話していた。