智弁学園(奈良)が創成館(長崎)に、今大会初の延長戦でサヨナラ負けを喫した。勝てば準々決勝で智弁和歌山とセンバツでは初の「智弁対決」だったが、実現しなかった。

 先発の伊原陵人投手(3年)が9回に同点に追いつかれ、なお1死満塁のピンチで降板。続く川釣聖矢投手(3年)が遊ゴロ併殺で乗り切ったが、延長10回に2死からサヨナラ弾を浴びた。伊原は「スライダーが真ん中高めに浮いてしまった」と悔やんだ。

 当初は4番を毎試合のように替えるなど、主軸と呼べる選手がなかなか出てこなかった。そんなチームに小坂監督は“史上最弱”とはっぱをかけてきた。目立って引っ張る選手がいないと、副主将を5人に増やした。選手たちも発奮し、自主的に2チームに分かれて朝練習を行うなど努力を重ねた。甲子園でもかき消されないような大きく伸びる声は、週に1回の「詩吟トレーニング」で培い、ゆずの「栄光の架橋」をチーム全員で大合唱することもあった。

 今センバツでは、初戦が公式戦初出場だった4番藤村健太内野手(2年)が2戦連続適時打を放つなど、チームとして少しずつ確実に成長している。「秋の時点ではボロ負けしていた。ようやったと思います」と小坂監督。同時に「まだまだ足りない部分が分かりました」と、さらに成長した姿で夏の聖地に帰ってくる。