東海大相模(神奈川)は「最強二遊間」の攻守にわたる活躍で、初出場の日本航空石川(石川)を3-1で下し7年ぶりに4強入りした。

 タテジマの「ザ・仕事人」が観衆を魅了した。初回、元気印の1番遊撃・小松勇輝(3年)が右中間へ本塁打を放った。「積極性が自分の売り。何とか塁に出たかった」。先頭打者弾は昨秋の関東大会以来。甲子園での通算17号に思わず右手を高々と上げ、叫んだ。「うれしくて感情が出てしまった。相手チームに申し訳なかった」と反省しきりの主将が放った先制弾で勢いづいた。

 強打を誇る両チームの戦いは思わぬ投手戦となった。1-1の6回1死二塁で“相棒”の2番二塁・山田拓也(3年)が、2ストライクから左翼線へ勝ち越し打を放った。「追い込まれて食らいつくのが持ち味」と笑顔を見せた。15年夏のVメンバーだった兄啓太(2年=白鴎大)からはフットガードを譲ってもらった。「小松とは先頭に立ってやっていこうと話している。今日は2人で引っ張ることができた」と胸を張った。

 二遊間の守備は打棒以上に喝采を浴びる。1年春からベンチ入りする小松は度肝を抜く守備範囲の広さ。この日も3回に中堅に抜ける打球をさばいた。ガッツあふれる好プレーで再三チームを救っている。OB田中俊太内野手(24=巨人)に憧れる山田は1点リードの4回、カットプレーで本塁へ好返球し、勝ち越しを防いだ。「ファインプレーより、投手が打ち取った打球をアウトにする確実性が大事」。野球経験のない父が必死に勉強して教えてくれた守備で、チームを引っ張る。

 1、2番が機能して試合の流れを作った。東海大相模が掲げる「アグレッシブベースボール」を体現し、接戦を制した。門馬敬治監督(48)は「準々決勝が一番厳しい試合になると思っていた。今日は守り勝ち。守って、攻めた」と、3度目のVへ向け、明日、智弁和歌山との準決勝に挑む。【和田美保】