大阪桐蔭が花巻東を圧倒して4強入りを決めた。初回1死一、三塁のピンチを、エース柿木が連続三振で切り抜けた直後だった。1死二塁で、主将の中川が左翼フェンス直撃の先制適時打を放ち、この回一挙4得点。2回に5点を追加した後も攻め続け、終わってみれば19得点。08年夏の決勝・常葉学園菊川(静岡)戦での17点を上回り、甲子園の同校史上最多得点となった。

 序盤の大量リードにも、西谷浩一監督(48)は「勝っていることを保険に、もっと攻めていけ」とナインを鼓舞。中川は「いつ何が起こるか分からない。気を緩めることなく、どんどん攻めていこうと言っていました」と声を出し、チームを引き締めた。

 入学当初から、チームを引っ張ると決めていた。橋本翔太郎コーチは毎年、性格などを把握するため新入部員と面談を行う。1年生の4月、中川は宣言した。「僕が(2年秋の)新チームからキャプテンをやって日本一になります」。前主将・福井章吾の姿を観察するなど、キャプテン像を学び続けた。今大会前にはラグビー元日本代表ヘッドコーチ、エディー・ジョーンズ氏の著書「ハードワーク 勝つためのマインド・セッティング」を読んだ。選手を公平に扱うこと、伝統を大事にすること。リーダーとして参考になることがたくさんあった。そんな姿をナインが認めている。

 「41人全員で戦うと常に言い続けています。『一球同心』が部訓です」と中川。史上3校目の春連覇の偉業へ、チーム一丸となれば敵無しだ。【磯綾乃】

 ◆準々決勝最多総得点 準々決勝4試合で67得点も入った。参加8校の第1回大会を除き、準々決勝の総得点では02年の61点(鳴門工19-1広島商、関西10-1尽誠学園、福井商10-8明徳義塾、報徳学園7-5浦和学院)を上回る大会史上最多。

 ◆大阪桐蔭最多得点 大阪桐蔭の19得点は春夏を通じて同校の最多。過去最多は08年夏決勝の17-0(対常葉学園菊川)。