第90回選抜高校野球大会は今日3日、準決勝2試合が行われる。休養日の2日は勝ち上がった4校が兵庫・西宮市などで調整。高校通算46発の東海大相模(神奈川)森下翔太外野手(3年)が「リラックス打法」で初アーチを狙う。同じくドラフト候補の智弁和歌山・林晃汰内野手(3年)が準々決勝で本塁打を放ち、対決に闘志を燃やす。

 熱のこもった打撃練習の最中、森下が門馬敬治監督(48)に呼ばれた。2人で打撃ケージの後ろに置かれたベンチに座り約6分間、話し込んだ。「こんなことは今まであまりなかったです。硬くならず、考えすぎずに来た球を素直に打てと言われた。アドバイスで少し楽になれました」。この日柵越えを11本放ったが、助言を受けた後は肩の力が抜け、ライナー性の打球を飛ばした。

 森下は1年夏から主軸を打つ。指揮官をして「逆方向への打球は、当時の大田(泰示=日本ハム)より上」と言わしめる逸材だ。今大会は3試合で打率2割5分に抑えられているが、準々決勝の日本航空石川戦で初タイムリーを放ち状態は上がっている。準決勝で戦う智弁和歌山には屈指の好打者、林がいる。準々決勝で通算34号を放った好敵手を見て「(林は)バットが素直に出ていた。自分もチャンスで1本打つのが役割。ヒットの延長線が本塁打になれば」と火が付いた。

 森下が初タイムリーを打った時、アルプススタンドで母ゆりさん(46)が泣いていた。森下は「攻めて、攻めて、いい結果につなげたい」と自分のバットで決勝に導く覚悟だ。門馬監督にとっては、就任した翌年の00年春、初Vを飾った決勝戦で破った相手との再戦になる。「選手たちは、野球以外の面で余計なことを言わなくて良くなってきた」と戦いながら成長を感じている。森下を中心とした「ミレニアム世代」とともに3度目のVを見据える。【和田美保】

 ◆森下翔太(もりした・しょうた)2000年(平12)8月14日、神奈川県生まれ。小学1年から野球を始め、投手だった。日限山中時代は戸塚シニアに所属。東海大相模では1年夏から背番号8、中堅手でレギュラー。180センチ、77キロ。右投げ右打ち。