高崎健康福祉大高崎(群馬1位)が日大三(東京1位)に打ち勝ち、12年以来6年ぶり2度目の優勝を飾った。「ミレニアム世代」屈指の左の長距離砲でプロ注目の山下航汰外野手(3年)が、今大会初となる通算71号2ランを放った。1番打者として「機動破壊」に打撃力を加えた「新・健大打線」をけん引した。

 そぼ降る雨を切り裂いて、山下が右翼席へ打球を運んだ。3-2で迎えた5回無死一塁、2球目の直球を捉えた。「少し詰まって(右飛か)どっちか分からなかった」という手応えも、芝生席上段に飛ばす自身今大会初の特大本塁打。「驚きました。決勝ということは気にせず、本塁打が打てたことは良かった」。青柳博文監督(45)は「思い切り振ると、やはり違う。1本出て良かった」と頬を緩めた。

 代名詞の「機動破壊」に、打撃力を加えた「新・健大打線」を象徴する1番打者だ。今大会チームは計7本塁打で、1試合平均は約9・8点と強打を印象づけた。昨冬、生方啓介ヘッドコーチ(36)が全員に1対1で打撃を指導。山下は軸を意識し、突っ込まないフォームを身につけた。大会タイ記録となる2本の満塁弾を放った昨春センバツから、筋力もアップ。ベンチプレスはチームトップの125キロ。今年は不調に苦しみながらも、17本塁打を積み重ねている。

 プロ入りを目標に、フリー打撃では木製バットを手にする。夏に向け「甲子園で優勝しなければ意味がない。地方大会はぶっちぎりで優勝して、甲子園につなげたい」。最強の1番として、全国に名前をとどろかせる。【保坂恭子】

 ◆山下航汰(やました・こうた)2000年(平12)11月15日、大阪府柏原市生まれ。柏原小3年から野球を始め、中学時代は羽曳野ボーイズで通算22本塁打を放ち、3年時にはジャイアンツカップ優勝。高校では1年夏から4番で通算71本塁打。珠算3級、暗算4級、剣道4級。手本はオリックス吉田正尚とDeNA筒香嘉智。50メートル6秒3。174センチ、78キロ。右投げ左打ち。