第100回全国高校野球選手権大会(8月5日から17日間・甲子園)の地方大会27試合が行われ、沖縄大会では4番遊撃手で投手も兼ねる未来沖縄・宜保翔内野手(3年)が投打でプロ注目の力を発揮した。沖縄工戦に先発し5回3安打無失点。打っては4打数2安打1盗塁。7-0で7回コールド勝ちの原動力となった。同じ遊撃手兼投手で今秋ドラフト1位候補の大阪桐蔭・根尾昂内野手(3年)と比較される逸材が好スタートを切った。

 沖縄の「二刀流」宜保が初戦から強烈な輝きを放った。まずは投手として初回からエンジン全開。1回2死三塁とピンチを背負ったが、決め球のスライダーで空振り三振を奪い波に乗った。この日の最速は144キロ。自己最速147キロの更新はならなかったが、日本ハム、DeNA、中日など国内8球団のスカウトが見守った中、5回3安打無失点。昨秋と今春県大会8強の沖縄工を封じ込め「ボールがしっかり指にかかるきれいな直球で、いい投球ができた」と振り返った。

 4番打者としても存在感は抜群だ。4打数2安打。3回2死一塁で好機を広げる左前打。5回には先頭打者として中前打。いずれも追加点を呼び込むと、6回の守備からは遊撃に入って勝利の瞬間を見届けた。

 創部4年目のチームにあって、身体能力の高さが際立つ。遠投116メートルで、昨年12月の体力測定の際に141キロを計測。エースの故障もあり今春から投手を任されるようになった。両親はバレーボール経験者で母美千代さん(43)は国体にも出場している。小学生時代から母のママさんバレーチームの練習に加わり、バネが磨かれた。沖縄県の高校球児を対象にした競技大会の立ち3段跳びでは8メートル87センチを記録し、高1から2連覇。塁間3・2秒の俊足も魅力で、この日も5回に二塁走者としてダブルスチールで三塁を陥れた。

 背番号6で遊撃手兼投手。センバツ王者の大阪桐蔭・根尾とダブる点が多い。「意識してませんがポジションが一致する分、自分も注目されてありがたいです。負けないよう、追いつき、追い越したい」。そして言った。「一戦必勝で気づいたら優勝していたという感覚でやっていきたい。甲子園に出たら大阪桐蔭とは、やってみたい」。走攻守3拍子そろうドラフト候補が会心の好スタートを切った。【菊川光一】