第100回全国高校野球選手権南神奈川大会で、09年以来の夏の甲子園を目指す横浜隼人。カギを握る打撃力がアップし、バランスの取れたチームに成長した。水谷哲也監督(53)は「(今年は)スーパースターはいないが、その分誰がヒーローになってくれるか楽しみ」と話す。果たして誰がヒーローになるのか。水谷監督が期待を寄せる選手を取材した。

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 中軸を打つ百合野稀平(きっぺい)内野手(3年)は兄の剛さん(22)も同校野球部出身。守備力が売りの二塁手ながら、3年夏の大会は高校初本塁打を放つなど打率4割超えの大活躍。宗佑磨(現オリックス)とともにチームを4強に導いた。当時中学生だった百合野はその姿をスタンドで見ていたという。「(兄は)普段打撃では目立たないタイプだったのにヒットを量産していました。ゾーンに入ってましたね」と振り返る。

 

 自身は昨夏、代打起用で結果が残せず、大会直前でメンバーから外れた。「好不調の波があるので良い状態を継続できるように反復練習を心がけた」とウエートや体幹トレを重視し、打力アップに努めた。現在25本塁打。「ホームランも打てる中距離打者になりたい」と逆方向への打撃も意識する。1年間励んだ練習量で、この夏はレギュラーの座をがっちりつかんだ。水谷監督も1番に百合野の名前をあげるほど、信頼を置いている。

 

 ポジションは剛さんと同じセカンド。兄以上の成績を残し「ヒーロー百合野」が誕生すれば、剛さんも届かなかった甲子園を手に入れることができる。横浜隼人の初戦は15日サーティフォー保土ケ谷で、吉田島と横浜商の勝者と対戦する。【松熊洋介】