仙台育英と東北(ともに宮城)の硬式野球部3年生の引退試合が4日、仙台市内で行われた。今夏のベンチ入り20人から外れた両校の3年生が火花を散らし、18安打を放った仙台育英が17-2で圧勝。試合後は「永遠のライバル」と言われる両校ナインが第100回の夏の宮城大会決勝での対戦を約束し、肩を組んで記念撮影に納まった。

 系列の秀光中教校で15年の全国中学軟式野球大会の準優勝メンバー、仙台育英の高橋翔外野手(3年)は2度打席に立ち、死球と捕邪飛に終わった。「やりきった感じ。今年のチームは一緒に戦ってきた気持ちが強い。その分、外れて悔しいし、夏は選ばれたメンバーに頑張ってほしい」と選ばれた20人に最後の夏を託した。

 U15日本代表にも選ばれた右の長距離砲だったが、高校入学後は度重なる故障に苦しんだ。2年秋は地区大会でベンチ入りしたが、県大会、東北大会ではメンバー外。「高校からはつらいことが多かった。厳しい世界だというのを痛感した」。中学から同期の阿部大夢主将、鈴木佳祐内野手(ともに3年)は昨年に2度の甲子園出場を経験。先を越されたまま追いつけなかったが「2人がすごく頑張っているのは分かっている。その努力はかなうと思う」とエールを送った。

 入学して2度の甲子園をスタンドで経験して、分かったことがある。「去年は先輩たちに連れて行ってもらったことでより一層、自分たちの代で甲子園に行きたいと思った」。苦楽を共にした同期とともに、向かうは聖地。スタンドで声を張り上げ、ナインの背中を押す。【高橋洋平】