今春の新潟県大会4強・加茂暁星のエース竹林楓也(ふうや、3年)が王者、日本文理へのリベンジに挑む。今春の準決勝で対戦し試合は2-7で敗れたが、竹林は先発して6回を投げ、7安打3失点。春先は調子がいまひとつながら強敵相手にまずまずの投球内容だった。夏は実力アップし、勝ち切る投球を意識。日本文理の連覇を阻み、初の頂点を目指す。

 上手から投げ下ろす直球の最速は144キロ。それでも「速球で三振を狙うのではなく、打たせて取るのが自分のピッチング」。竹林は実戦的な投球術に磨きをかけながら、夏本番に備える。角度のある直球を軸にカーブ、チェンジアップを織り交ぜる。春季県大会後の練習試合、関根学園戦では6回を無失点に抑えた。「調子は上がっている」と実感した。

 その手応えを最初に得たのは春準決勝の日本文理戦だった。初回に2点を奪われたが、尻上がりに球が切れた。敗れはしたが、県内5季連続V、公式戦30連勝の王者相手に3失点に抑えた。「タイミングを外すことを考えた。それがうまくいった」。春初戦の2回戦、佐渡戦は7回5失点。要所で制球が乱れた。力で抑えようと力んだ結果だった。日本文理戦で修正できたことが収穫だった。

 この試合でプレートを踏む位置を三塁側から一塁側に変えた。「右打者の内角をうまく使えるようになった」。好感触を春季大会以降の投げ込みで体に染み込ませた。飯田雅司監督(41)も「制球にばらつきがなくなった。春先よりも良くなった」と成長を認める。だからこそ「文理に勝ちたい」(竹林)という思いは一層強くなった。

 刺激もあった。6月下旬の金沢(石川)との練習試合、入学時から切磋琢磨(せっさたくま)してきた渡辺侑人投手(3年)が最後の打者1人だけに投げた。渡辺は右ひじの故障で夏のベンチから外れた。涙を流しながら上がらない右腕を振り、三振を取った。「感動した。侑人のためにも頑張らないと」。チームのため、出られない仲間のため。身に付いたエースの自覚も強力な武器になる。【斎藤慎一郎】

 ◆竹林楓也(たけばやし・ふうや)2000年(平12)6月2日生まれ、福井県敦賀市出身。敦賀西小3年のときに敦賀西ドリームスで野球を始める。松陵中では2年まで敦賀ボーイズ、3年時に嶺南敦賀シニアに所属した。加茂暁星では1年の春からベンチ入り。好きなプロ野球選手は日本ハム平沼翔太内野手。183センチ、83キロ。右投げ右打ち。