福岡が、左腕エースのアクシデントをナイン全員でカバーして初戦を突破した。

 1回、マウンドの背番号10、先発轡水俊理(ひすい・としのり)投手(2年)が打球を右膝に受けて転倒。担架で運ばれる事態になり、急きょ一塁を守っていた背番号1の磯部太夢投手(3年)がマウンドへ。1点を先制されてしまった。

 いきなりの苦境にも、チームがみんなでカバーした。磯部は2回以降、7回まで無失点を重ね9回まで投げきって“完投”。7回から右太もも裏がつるアクシデントにも耐えてマウンドを死守した。1-1の同点で迎えた6回には、自ら犠飛で決勝点をマーク。「いつでも投げる準備はしていた。途中、足がつったけど、轡水の分まで頑張ろうと思った」と胸を張った。

 轡水俊理の兄である5番打者、俊空(としたか)外野手(3年)も、6回に貴重な追加点となる右前適時打。また7回には、磯部に代わって一塁の守備についた久保優一郎内野手(3年)が、ダメ押しとなる左翼線への適時二塁打を放ち、二塁ベース上で右手でガッツポーズしてみせた。

 轡水俊理は7回までベンチにいたが、その後病院へ。昨秋ベスト16、今春8強とシード校になるポイントを稼いだ柱をいきなり欠く戦いとなったが、まさにチームワークで逆境をはね返した。小森裕造監督(38)は「みんなでカバーしようと話した」とナインの奮起に目尻を下げた。