北大阪大会1回戦で府立の進学校四條畷が、私学強豪の関西創価を破る金星を挙げた。0-0で迎えた9回、森優太内野手(2年)が均衡を破る適時打。この1点を先発右腕の坂井達哉投手(2年)が6安打完封で守り切った。2回戦は16日、センバツ王者の大阪桐蔭と対戦だ。

 公立進学校の四條畷が、打倒私学を合言葉に、甲子園出場経験もある関西創価から金星を挙げた。

 「私学には負けたくない。私学相手だと燃えます」。2年生エースの坂井が、再三走者を背負っても決定打を許さない気迫の投球を展開。打線も相手の3継投に沈黙する緊迫の投手戦となり、電光掲示板には8回まで両チームの0が並んだ。

 均衡を破ったのは9回だ。2死二塁から森が中前に先制タイムリー。念願の1点を奪い取った。坂井が虎の子の1点を守り抜き、大阪大会の上位常連校を6安打完封した。

 辻野茂樹監督(56)は「強豪私学に勝つために、3年間仕込んできた」と結実を喜んだ。京大、阪大、神戸大、名古屋大など、毎年国公立大学に多数の卒業生を送る府内屈指の進学校。野球の練習は1日1時間30分しか確保されていない。だが坂井は「練習量では負けるが、質では負けない自信がある」ときっぱり。創意工夫を重ね、辻野監督は「特に守備を鍛えた」と明かす。その言葉通り、この日は野手陣の再三の堅守も坂井を救った。バッテリーも含め、相手に1点も与えない“守り勝ち”で関西創価を下した。

 声の力も発揮された。辻野監督は「技術がなくても声が出れば不思議と体が動く」をモットーに、声出しを奨励。元気な声が途切れないノックで鍛え上げてきた。坂井は「先輩たちの声が頼もしかった」と力強い援護を受けて快投した。

 2回戦は16日、センバツ王者で甲子園春夏連覇を目指す大阪桐蔭とぶつかる。辻野監督は「今は何も考えていません。とんでもない相手」と謙虚にコメント。だが坂井は「勝つ気で臨みます」と闘志をむき出しにした。ジャイアントキリング連発へ、エース右腕が横綱にも真っ向勝負を挑む。【鶴屋健太】