夏の甲子園の前身にあたる「第1回全国中等学校優勝野球大会」で準優勝した秋田(当時は秋田中)が、9-1の7回コールドで仁賀保を退けた。初回に4安打と2犠飛で3点を先制。7回には一挙5点を挙げる集中力も見せた。100回記念大会での伝統校復活の期待を背負い、15年ぶり20度目の甲子園に好発進。今日15日には今春センバツに21世紀枠で出場した由利工と対戦する。

 秋田ナインが、重圧を振り払うかのような大声で校歌を歌った。スタンドを埋めた約1000人の大応援団とともに。エース右腕の長谷川叶(かなう、2年)は「父も卒業生ですし、多くのOBからの激励もあり、プレッシャーはある。でも、それも力に変えて100回大会独特の雰囲気を楽しみたい」。4回から登板して1安打無失点に封じた。

 伝統的なつなぐ野球の復活も感じさせた。初回に左安とバント安打2本で無死満塁。4番塩津健志朗捕手(2年)の中犠飛で先制した。5番柴田和希外野手(1年)の投手強襲安打に続き、6番湊壮矢内野手(3年)も中犠飛を放ち3得点。6回にも再び湊が左犠飛で追加点を奪うと、7回には3番菊池信平内野手(1年)の中越え三塁打などに4四球も絡めて試合を決めた。

 昨秋の中央地区予選では本荘、秋田商に惜敗。今春も由利にコールド負けし、新チーム以降未勝利だった。立て直しへ、5月は練習試合をやめ「振り込む、投げ込む、走り込む」を合言葉に練習で鍛え直した。特に「総攻撃」をテーマにした打撃は、犠打や進塁打を絡めて得点を奪う勝利への執念と、仲間の団結心を呼び起こさせた。

 ようやくつかんだ1勝。湊主将は「夏の初戦で良い流れを作れてうれしいが、目指すところはまだ先。偉大な先輩たちの歴史に、自分たちの1ページを加えたい」。100回目の夏での躍進に向けて、総攻撃が始まった。【鎌田直秀】