早実(西東京)ナインが、同校先輩の日本ハム清宮幸太郎内野手(19)のサプライズビデオメッセージに勝利で応えた。前夜、恒例のモチベーションビデオを観賞。その冒頭で「紺碧の空」を熱唱する“清宮流”のゲキを受け、気持ちを高めた。高校通算66本塁打の野村大樹主将(3年)は、8回2死からの逆転劇にベンチで号泣。清宮から受け継いだ「逆転の早実」で、早大学院との「ワセダ対決」を制した。

 清宮先輩のサプライズ登場で、早実ナインは最高潮に盛り上がった。決戦前夜、恒例のマネジャー製作の、モチベーションビデオを観賞。画面に現れた清宮にドッと沸いた瞬間、先輩は応援歌「紺碧の空」を歌い始めた。1番を歌い切った後、「優勝しろ」と熱烈なメッセージを込め、チーム全員が思いをかみしめた。

 野村 盛り上がりました。チームが1つになって、やってやろうと思った。

 戦い方も、清宮の代が得意とした派手な逆転劇になった。1点を追う8回無死一塁。二盗に成功した野村が、三振した打者の守備妨害でアウト。一気に2死走者なしとなり、嫌なムードが漂いかけたが、3年生唯一の一般入試から入部した江本達彦二塁手(3年)が左前打で再び突破口を開き、4連打で逆転。9回には2発などで6点を奪って、試合を決めた。

 逆転劇をベンチで見ながら、野村はあふれる涙を手で拭った。同点打を放った毛塚悠伸外野手(3年)は人一倍、努力しながら、昨秋、春と結果が出ずに苦しんだ選手だった。「うれしくて、涙が出ちゃって…。自分が打てなくても、カバーしてくれた仲間に感動した」。自身の1安打を反省しながら、仲間を思う姿も、清宮と同じだった。

 苦しみながら、早大学院との夏4度目の「ワセダ対決」を制した。第1回の選手権に出場した東京初の代表校の主将を務める野村は「先輩方が伝統を作ってくれた。伝統を守っていけるように、勝ちたいです」と力を込めた。【久保賢吾】